ルイ・ヴィトン広告が日経新聞を包み込む 高いアート性、転売されるケースも

   ルイ・ヴィトンの広告攻勢が目立っている。2023年1月3日には、日本経済新聞を丸ごと同社の広告で包み込んだ。同日、朝日新聞でも、最終面に全面広告。同社はこのところ日本の有力全国紙に再三全面広告を掲載しているが、一日で日経と朝日に計5ページというのは異例。派手ぶりが際立った。

ルイ・ヴィトンの全面広告。右が日経新聞、左が朝日新聞
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「本日は特別紙面でお届けします」

   日経新聞の定期購読者は1月3日の同紙を見てびっくりしたことだろう。通常なら一面の上部に「日本経済新聞」のタイトルが入り、その下に記事が展開される。ところがタイトルだけあって、記事がない。

   代わりに読者が目にしたのは、一面を埋め尽くしたルイ・ヴィトンの全面広告。それも新聞の見開き4ページ分。この広告紙面の中に、日経本紙が丸ごと包まれていた。この広告を取り外すと、中から普段と同じ日経本紙が現れるという仕掛けだ。

   広告の左上には小さく、「本日は特別紙面でお届けします。通常紙面は2枚目からになります」という注記が付いていた。

   もう一つは、朝日新聞。通常ならテレビ欄が掲載されている朝日新聞の最終面が、ルイ・ヴィトンの全面広告になっていた。やはり「本日のテレビ面は中面にあります」という注釈が付いている。この「特別紙面」は昨年末から何回も繰り返されている。もう定期購読の読者は慣れっこになり、驚かなかったことだろう。

   この日、両紙に掲載された広告内容はほぼ同じ。日本が誇る世界的なアーティスト、草間彌生さんとルイ・ヴィトンがコラボしている。ルイ・ヴィトンのロゴと草間さんの手書きサインが掲載されている。商品の紹介などは一切ない。

メルカリで300~450円

   ルイ・ヴィトンは今、世界で最も好業績のブランドとして知られている。22年8月9日の日経新聞は、こう紹介している。

「高級ブランド世界最大手、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの業績が好調だ。2022年1~6月期は最高益となり、新型コロナウイルスの感染拡大下でも高成長を続けている。服飾からワインまで多様なブランドを擁しながら事業間のバランスを取る複合経営が功を奏している」

   同社は豊富な資金力を背景に、商品そのものの紹介ではなく、自社のブランドイメージを高めるようなインパクトの強い広告に注力している。特に最近は、日本の全国紙での展開が目立つ。日経、朝日のほか、読売新聞にも全面広告を出している。

   同社の新聞広告のクオリティーは高く評価されており、21年度の読売広告大賞では準グランプリを受賞している。

   草間さんとのコラボでもわかるように、アート性が高い作品が多い。今回の広告も含めて一連の全面広告紙面は、そのページだけ切り取られた形で、メルカリに300円から450円ぐらいの価格で出品されている。

   日本の新聞業界は近年、部数の減少に悩んでいる。ルイ・ヴィトンの全面広告が、全国紙の1面や最終面で頻発する背景には、新聞社の厳しい経営事情もありそうだ。

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