友達の前でデカい「おなら」しかも激臭 旅先でトイレ我慢したばかりに
【連載】お腹トラブル天国と地獄 ~運命の選択~
20代女性の会社員、あやさん。大学時代の友人たちと3泊4日の国内旅行に出かけました。一緒にお酒や食事を楽しみ、夜遅くまでおしゃべりが盛り上がって旅行を満喫していました。
ところが3日目の深夜、あやさんを腹痛と悲劇が襲います。気のおけない友人と一緒のリラックスした日々のはずが、どうしてこんなことに。
刺すような脇腹痛、耐えること2時間
あやさんたちが泊まっているホテルの部屋は、トイレとお風呂が同室にあるユニットバス。トイレや洗面台を、3人で譲り合い使っていました。しかし、あやさんは便意を感じても、うんちのにおいがユニットバス内に残ることを気にして、2日間ずっと排便を繰り返し我慢してしまいました。お腹の重苦しさは増していましたが、「タイミングが来たら出そう」と、特に気にはしていませんでした。
3日目の深夜、あやさんは刺すような左脇腹の痛みで目覚めました。痛みは段々と強くなり、うなりながら布団の中で膝を抱えて耐えることしかできません。うなり声で目覚めた友人が心配してくれましたが、どうしてこんなことになってしまったのかわからず、小声で「大丈夫」と言うのがやっと。ただ、便意はありませんでした。
友人に見守られながら2時間ほど痛みに耐えていると、突然、驚くほど臭くて大きな音のおならが1発。その後、腹痛もなくなり、そのまま眠りにつくことができました。
翌朝も特に異常はなく、それぞれ帰宅。しかし、あやさんは腹痛のつらさとおならの記憶がフラッシュバックしてしまい、1日中恥ずかしさで頭の中がいっぱいです。「もう絶対に同じ思いをしたくない」と、あやさん。
「きのこ、玄米、さつまいもなどの食物繊維をたくさん食べる」と「睡眠、起床、食事など普段通りの生活リズムで過ごす」。正しい対策はどちらでしょうか。
便意の我慢で腸内は老廃物だらけ
旅行による食事や睡眠習慣、トイレ・住環境の変化によって起きる便秘は、「急性便秘」と呼ばれます。これは、一過性のもの。ビオフェルミン製薬のアンケート調査によると、女性の約35%、つまり3人に1人が「旅行に行くと便秘になりやすい」と回答しています。
あやさんの場合、食事・睡眠習慣の変化はもちろん、便意の我慢が大きな要因です。うんちが排出されなければ、腸内は老廃物だらけのゴミだめ状態に。結果、腸のぜん動運動が低下してガスが大量発生し、痛みを伴う腹部膨満感が起きたと考えられます。
一過性の便秘とはいえ、腸の中で硬くなったうんちをそのままにしておくと、それがどんどん硬くなって排便困難な状態になってしまいます。万が一にも、踏んばりすぎて痔になれば、痛みや出血によって排便を我慢してしまい、さらに排便が困難になる悪循環を招いてしまうかもしれません(一般社団法人 日本臨床内科医会「わかりやすい病気のおはなしシリーズ49 便秘」より)。最終的には、慢性便秘になってしまう場合もあるため、なるべく早く対策が必要です。
正解は「睡眠、起床、食事など普段通りの生活リズムで過ごす」。
急性便秘になったらまずは、生体リズムを元に戻すことが大切。普段の生活リズムをとり戻し、他人を気にせずにトイレに行ける状態にすれば、排便リズムも元通りになります。意識的にリラックスする時間を設けたり、早めに寝るなど睡眠時間を確保したりと、腸が活発に動くように工夫するのも良いでしょう。
食物繊維の摂取は、実は注意が必要。食べる種類が大切です。きのこ、玄米、さつまいもに含まれる食物繊維は「不溶性食物繊維」と呼ばれます。これは、うんちの「かさ」を増してくれる大切な成分ですが、今回のケースのように、腸の動きが低下して、既にうんちがたまってしまっている場合は、大量にとりすぎると詰まりを悪化させてしまう恐れがあるのです。
トイレの我慢いいことなし
トイレでするうんちと、深夜に苦しみで悶えながら出す臭くて大きなおなら、どちらがより恥ずかしくて友人に迷惑をかけるかといえば、絶対に後者。どんなときでも我慢にいいことは1つもないことを、うんちは教えてくれます。
旅行先で一過性の便秘になる人は多いので、対策が大切です。睡眠時間の確保や偏りすぎない食事など、少しの行動を意識するだけでも変わるはず。楽しみつつ、腸に無理はさせすぎないようにしたいですね。
(文・イラスト:長瀬みなみ ウンログ株式会社)