「バーチャル名古屋駅」で新幹線に乗車 その先には「リニア」が待っていた
世界最大のVR(仮想現実)イベント「バーチャルマーケット2022 Winter」(Vket)に、JR名古屋駅をモチーフとした「バーチャル名古屋駅」が登場した。
東海旅客鉄道(JR東海)と、ジェイアール東海エージェンシーの共同出展によるものだ。名古屋エリアを再現した「パラリアル名古屋」会場につくられたVR駅を、メタバース調査隊Hack2が取材した。
JR駅からVR駅に入れる
「メタバース調査隊Hack2」とは メタバース(仮想空間)の魅力を取材する「VR記者カスマル」と、バーチャルBAR「Angel Kiss」店主を務めVRイベントを主催している「草羽エル」のユニット。メタバースにまつわるコンテンツやその面白みを2人で発掘、発信していく。
ジェイアール東海エージェンシーのVket出展企画担当・杉山裕哉氏と楠根史晃氏が、出迎えてくれた。同社はJR東海グループの広告代理店で、新幹線に関わるCMや広告を制作している。2人は専用アバターを持たないため、草羽エルさんが作ったアバターを一時的に使い、取材対応した。
JRグループ内では、2021年8月の「Vket6」でJR東日本がバーチャル秋葉原駅を、22年8月の「Vket 2022 Summer」ではJR西日本がバーチャル大阪駅を出展した。JR東海・ジェイアール東海エージェンシー双方ともメタバースに興味を抱き、今回の「バーチャル名古屋駅」が実現した。「VRとリアルを組み合わせることで、新しい価値や体験を生み出せるのでは」と考えたという。
Vket開催中には、現実の名古屋駅中央コンコースにも特設ブースを設置。VRゴーグルを着用してバーチャル名古屋駅に入れるメタバース体験会を実施した。
VTuberが推す「なごやめし」
バーチャル名古屋駅構内には、他の企業やキャラクターとコラボした展示が多数ある。杉山さんによると、「VRを通して、多数の事業者と活発に連携していきたい」というねらいも背景にある。
「ラブライブ!サンシャイン!!」コラボブース サイリウムの3Dモデルを手に取り、劇中の「推し」を応援できる
例えば、アイドルを題材にしたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とコラボしたブース。静岡県沼津市内を舞台としている作品で、ステージ上では劇中の映像が流れる。
バーチャル名古屋駅の公開は2022年12月18日で終了したが、ここで撮影した写真を沼津エリアに持っていくと、オリジナルグッズがもらえるキャンペーンを2023年3月以降に実施予定だ。具体的な受取方法や受取場所は今後発表を予定している。
VTuberとコラボした「惜し!なごやめし」ブース
人気VTuber(バーチャルユーチューバー)が、おすすめの名古屋グルメを紹介する企画「推し!なごやめし」のブース。VTuberユニット「おめがシスターズ」の「おめがリオ」さんは、中国台湾料理店「味仙」の「台湾ラーメン」を、バーチャルシンガーとして活動する「YuNi」さんはみそかつ専門店「矢場とん」のみそかつを、それぞれ勧める。
12月17・18日には各VTuberが、推しの「なごやめし」についてプレゼンテーションし、その様子をJR名古屋駅内の特設ブースで放映するイベントを実施。参加者はモニター越しにVTuberと交流もできた。
VRリニアは土星まで走る
バーチャル名古屋駅内の改札を抜けると、東海道新幹線「N700S」への乗車体験ができる。
自動きっぷ売り場 JR東海の交通系ICカード「TOICA」が出てくる
TOICAを改札にかざすと「ピピッ」と鳴る
ホームに入ると「N700S」がやってくる 取材時の車両は黄色いカラーリングだった
走行する「N700S」車内からは「パラリアル名古屋」を一望できる
N700Sは架空の駅「新名古屋駅」で停車する。この駅で、2027年に東京~名古屋間で開業予定の「リニア中央新幹線」(L0系改良型試験車)に乗り換えられる。車両はJR東海が監修し、内装も含めてリアルに再現したという。VRリニアは宇宙空間を進み、最後は土星をモチーフとした駅に到着する。
バーチャル「リニア中央新幹線」
正式には未開業ながらVR上で内装まで体験できる
バーチャル名古屋駅内コンコースのサイネージでは、22年11月発売のゲーム「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」の広告を表示。また戦国時代を舞台としたゲーム「信長の野望」シリーズとコラボし、織田信長と写真を撮れるブースを設置した。
名古屋の専門学校「名古屋モード学園」「HAL名古屋」ともコラボ。学生が制作した服飾作品やCG作品を3Dモデル化し、コンコース内で展示している。
「名古屋モード学園」「HAL名古屋」とコラボしたブース
杉山さん「VR環境のない人でも、JR名古屋駅内特設ブースからVRゴーグルを使いバーチャル名古屋駅を体験できるようにしたり、VTuberが好きな人が興味を持てるようにしたりしました。さまざまな『入口』があった方が面白いと考え、現実と連動させた企画を打ち出しました」