コロナ「第8波」もう入ったか 1日の感染者10万人超える日も
新型コロナウイルスの感染者が2022年11月になって、増え続けている。すでに全国の1日の感染者は10万人を超える日もある。これは2月ごろの「第6波」ピーク時の人数とほぼ同じだ。専門家の中には「第8波に突入した」と見る人もいるが、政府はまだ「8波」とは判断していない。感染の「波」は、誰がいつ決めるのだろうか。
日本医師会は「第8波が始まった」
11月15日、全国の新たな感染者数は10万人を超えた。それを受けて、16日のNHKニュースは、「厚生労働省は、このまま感染拡大が続けば第8波になる可能性があるとして、都道府県と連携して医療提供体制の強化を図るとともに、早期のワクチン接種を呼びかけています」と伝えた。
北海道で感染者が過去最多となったほか、東京都も1万人を超えた。加藤勝信厚労相は「今後も感染拡大が続けば第8波になる可能性も念頭に対策を行いたい」と改めて危機感を示した、とNHK。
一方、FNNプライムオンラインは同日、「新型コロナ流行『第8波が始まった』 日本医師会が見解 2日連続で全国10万人感染」と報じた。
16日段階では、厚労省はまだ「第8波になる可能性がある」との表現にとどまっているが、日本医師会は同じ日に、すでに「第8波が始まった」との立場だ。政府と専門家の見方が微妙にずれている。
「波」の「定義は決まっていない」
このほか、現状は「第8波の入り口」との見方もある。NHKによると17日、東京都で新型コロナのモニタリング会議が開かれた。都内で新型コロナの新規感染者数が増えていることなどから、専門家は「第8波の入り口にさしかかっている」として、感染状況の警戒レベルを1段引き上げた、という。
「第8波になる可能性がある」「第8波が始まった」「第8波の入り口にさしかかっている」と、関係者の間でも判断が分かれる。なぜだろうか。
FNNプライムオンラインは16日、感染流行の「波」について「定義は決まっていない」という日本医師会の釜萢敏常任理事の解説を紹介している。
同理事によると、過去の流行期では、感染者数が最も下がり、その後、再び増え始めると、「新たな波と捉える場合が多い」。今年10月11日の感染者数が少なく、そこから、継続して増え続けている現状を受けて、現在は「新たな波(第8波)と捉えるのが適切だろう」という。
「第7波」も判断分かれた
今年の夏の「第7波」の時も同じようなことが起きた。
読売新聞は7月7日に、「第7波に入った」と報じた。感染が急拡大し、47都道府県全てで前週比が増加、7日の全国の新規感染者は、1週間前の2倍の4万7977人になった。各地の知事から「第7波に入った」などの発言が相次ぎ、政府は自治体に対し、病床の確保を急ぐよう要請している、と同日の記事で書いている。
しかし、日経新聞によると、厚労省に助言する専門家会議の脇田隆字座長が、「流行の第7波に入ったとの認識を示した」のは少し遅れて13日だ。
また、大阪府感染症情報センターのウェブサイトによると、大阪府では「6月25日以降を『第7波』と総称して分析」と記されている。
新型コロナは地域によって感染状況が異なる。「第6波」は沖縄が先行して急拡大したが、今回は北海道がすでに「第7波」のピークを超えている。逆に沖縄の感染者は少ない。「東高西低」(18日の朝日新聞)となっている。このため「第8波」について、全国統一の判断が難しい状況になっている。