コロナ「第8波」忍び寄る 冬には最大800万人感染の予想も
新型コロナウイルスの第7波が終わっていないのに、早くも第8波の到来が心配されている。海外でオミクロン株の派生型がいくつか見つかり、新たな流行の兆しが見えるほか、過去には冬場にコロナが流行しているからだ。第8波ではかなりの感染者が出るとの見方もあり、専門家は警戒を呼び掛けている。
3つのケースを想定
2022年6月末ごろから広がった第7波では、国内で約1200万人が感染した。9月になって感染者数が急減したものの、完全には下げ止まっていない。
第8波が来るとしたら、どんな形になるのか。時事通信は10月27日、濱田篤郎・東京医科大学病院渡航者医療センター特任教授の論考を配信している。
それによると、3パターンが予想されている。一つは「残り火型」。これは現在のオミクロン株が沈静しきらず、再燃するケース。
二つ目は、オミクロン株ウイルスの新たな派生型が流行するケース。現在、海外で流行し始めている派生型が日本に入り込み、拡大することが考えられる。かなり大きな第8波になることが予想されるという。
三つ目は、オミクロン株でない別の変異株が出現し、それが世界的な流行を起こすケースだ。オミクロン株は21年12月、突然アフリカ南部で発生し、世界に広がり、膨大な感染者を出した。こうした新たな変異株は、ウイルスの感染力が強いと考えられている。
ワクチン接種を推奨
政府・新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、10月13日の記者会見で「『第8波』は第7波以上の高い波になると言われている」と語っている。
テレビ朝日によると、感染が海外で急速に増えているオミクロン株の派生型「BQ.1.1」(通称「ケルベロス」)や、「XBB」(通称「グリフォン」)はすでに都内でも確認され、増加していることが分かっているという。
NHKによると、新型コロナの第8波について、数理疫学が専門の京都大学の西浦教授は10月26日に開かれた厚生労働省の専門家会合で、感染が広がる勢いやワクチンの接種状況を仮定したシミュレーションの結果を示した。それによると、第8波では最大800万人感染する見込み。ただし、ワクチンの適切な接種で3割減が可能だという。
濱田篤郎・東京医科大学病院渡航者医療センター特任教授も、時事通信の論考で、ワクチン接種の重要性を強調している。
「BA.5の再燃であれ、新たな派生型の流行であれ、いずれもオミクロン株なので、それをターゲットとするワクチンを接種しておけば、感染予防や重症化予防に一定の効果を発揮するはずです。また、別の変異株が流行したとしても、オミクロン株ワクチンには従来株も含まれているため、新型コロナウイルス全般の免疫を強化することができます」