「ラッコ」国内の飼育数わずか3頭 日本の水族館で見られなくなるかも

   「鳥羽水族館」(三重県鳥羽市)のラッコ「キラちゃん」の新技が、ツイッターで話題だ。かわいらしい姿で人気のラッコは、2022年頭には国内3施設・4頭まで数を減らし、10月21日現在は3頭しかいない。ピーク時には飼育数が120頭を超えていたとされる。

   絶滅危惧種に指定されているラッコ。このまま日本の水族館から姿を消す恐れがある。

ピーク時には飼育数120頭が3頭まで減少
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3頭が「最後」になる可能性

   「須磨海浜水族園」(神戸市)で生まれた、国内最高齢だったメスのラッコ「明日花」は今年5月10日、引っ越し先の「鴨川シーワールド」(千葉県鴨川市)で死んだ。老衰だった。実は21年5月9日にも、須磨海浜水族園で飼育し、鴨川シーワールドに引っ越していたオスの「ラッキー」が老衰で死んでいる。

   現在国内で飼育されている3頭のうち、2頭は前述の鳥羽水族館に、もう1頭は「マリンワールド海の中道」(福岡市)にいる。将来、ラッコを国内の水族館で見られなくなるのか。「マリンワールド海の中道」のラッコ飼育担当者に取材した。

   水族館では、現在の3頭が今のところ「最後」になる可能性が高いようだ。飼育環境で個体数が増える見込みについては、「なんとも言えない状態」と言う。

   前提として、日本で飼育されるラッコは輸入されてきた経緯がある。しかし「絶滅の恐れがある」として、ワシントン条約で国際取引が規制され、1998年に米国がラッコの輸出を禁止した。2000年には、前述の通り絶滅危惧種に分類された。

野生の数は増えつつあるが

   では、国内での繁殖はどうか。「マリンワールド海の道」のラッコ担当者によると、国内水族館でラッコの飼育数が多かった時、水族館同士で繁殖が試みられていたそうだ。

   しかし、ラッコは健康管理が難しく、また気温・水温が10度前後と寒い環境を維持する必要がある。繁殖のために輸送されるラッコにも、ストレスがかかる。そして、国内の飼育環境下にいる個体の高齢化が進んでおり、繁殖には手が出しにくいのが現状だと話した。

   日本からラッコがいなくなるわけではない。北海道で野生のラッコ20頭ほどの生息が確認されている。そして、「微々たる数ですが、個体数は回復してきています」。

   だが、野生のラッコを水族館で飼育する選択肢は、「今のところは、出ていない」と担当者。野生の数がもともと少なく、手を出しにくい。一方で、少ないとはいえ野生のラッコの数が徐々に回復しているため、保護の必要性も議題として上がっていないという。

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