「iPhone 14」日本でも売れてない 変化目立たず値下げした「13」へ流れる
米アップルが「iPhone 14」の増産計画を断念――2022年9月28日、米ブルームバーグがこう報じた。「期待していたほど需要が伸びないこと」が理由という。今後最大600万台の増産を計画していたとのことだ。
記事は、26日付の米ジェフリーズ証券の報告を紹介。「14」シリーズの発売後3日間の中国国内での購入台数は、21年9月に発売された「iPhone 13」の時に比べて11%減少したという。iPhoneシリーズの需要がここにきて落ちているのか。
発売10日間で「13」より23%減
日本でも、「14」の売れ行きは順調ではないとの見方が出ている。9月29日付日経クロステックは、市場調査会社BCNによる、大手家電量販店におけるPOS実売データを紹介した。
それによると、予約分を含む「14」シリーズの初日の販売台数は、2020年の「iPhone 12」比で約69%減、21年の「13」比で約31%減だったという。発売から10日間の累計でも、「12」比で約56%減、「13」比で約23%減となったと報じている。
J-CASTトレンドは、ITジャーナリストの富永彩乃氏に取材した。世界的には、「14」シリーズ全体では需要が下がっているとの考えを示した。
富永氏によると、アップルが販売するiPhoneの台数は下位モデルが多く、上位モデルは少ない。販売台数の多い下位モデルの人気が落ちたことで、全体では「14」の需要が「13」よりも低くなったと考えられるとのことだ。
背景として、下位モデル「14」「14 Plus」については、「13」からの主な進化点が「カメラ程度」にとどまる点を指摘。カメラには、強力な手ぶれ補正のかかる「アクションモード」が搭載されたが、変化の少なさから、「14」を買うよりも9月に値下げされた「13」を選ぶ消費者が多いのではないかと語る。
一方、上位モデル「14 Pro」「14 Pro Max」は、カメラ以外の面でも「順当に進化」したと富永氏。本体の処理性能などを担う重要な部品「チップセット」では、最新の「A16 Bionic」を搭載した。
本体画面では、ノッチ(画面上部の切れ込み)を廃止。これまでノッチがあった部分には、ユーザーの操作に合わせて各種通知などを表示してくれる「Dynamic Island」機能が搭載された。こうした点が魅力のようだ。
高価なiPhoneに景気の影響が
海外市場では、中国以外での売れ行きについては、まだ表立ったデータは出ていないと富永氏はみる。ただ、欧州についてはロシア・ウクライナ情勢による景気への影響で、高価な商品への消費意欲が減少していると推測。いずれの機種も高価格帯に位置するiPhoneでは、景気や社会情勢の影響を受けやすいとの考えを示した。
日本市場についても、iPhone人気は他国と比べれば高いものの、同様の傾向がこれから見えてくる可能性があると指摘した。
上述の日経クロステック記事は、「14」の売り上げが日本で伸びていない背景について、円安に伴い国内での販売価格が上昇したとともに、物価高などの影響で消費者の買い控えが広がったのではないかとしている。