「オミクロン株ワクチン」9月接種開始へ 大流行「BA.5」への効果は
新型コロナウイルスのオミクロン株に有効なワクチンの接種が、2022年9月中旬から始まると報じられている。これまでは10月中旬スタートとされていたが、約1か月の前倒しだ。各自治体では、準備不足による混乱も起きそうだ。
自治体は「10月中旬」で準備
「接種の開始時期 10月中旬以降順次」――これは滋賀県草津市が8月29日にウェブサイトで公表したばかりの接種スケジュールだ。「オミクロン株対応ワクチン接種体制について準備中です」という告知の中で記されている。
同様の告知は最近、各地方自治体のウェブサイトで多数公表されているが、いずれも実施時期は「10月中旬以降」となっている。つまり多くの自治体は、「10月中旬」を念頭に接種の準備作業をしていた。
ところが、8月30日の読売新聞によると、政府は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対応した新たなワクチンについて、10月半ばを想定していた接種開始を9月中に前倒しする方向で調整に入ったという。従来のワクチンを2回以上接種した18歳以上が対象で、無料で受けられる「臨時接種」とする方針だ。
政府は現在、重症化予防を目的にした新型コロナワクチンの4回目接種を60歳以上と基礎疾患がある18歳以上などに限定している。同紙によると、新たなワクチンは、18歳以上で2回以上接種を終えていれば誰でも接種でき、大幅に対象が拡大するという。そのぶん、現場の作業量が増えることになりそうだ。
オミクロン株対応ワクチンは2種類
朝日新聞によると、この新たなワクチンは、昨冬に流行したオミクロン株の系統の一つ「BA.1」と、初期に流行した二つのウイルス株に対応した「2価ワクチン」だ。米ファイザー社と米モデルナ社がすでに日本でも、8月8日に承認を申請している。これまでのワクチンより、オミクロン株への感染を防ぐ「中和抗体価」が高くなるとされている。いま主流のBA.5にも効果が期待でき、接種間隔は2回目の接種から5か月程度を見込むという。
厚生労働省によると、オミクロン株対応のワクチンには2種類ある。8月4日のワクチン検討会報告では、「現在、ファイザー社及びモデルナ社は、オミクロン株対応ワクチンとして従来型ワクチン(武漢株)との2価ワクチンである『BA.1対応型』又は『BA.4/5対応型』の2種類のワクチンを開発中である」と報告されている。
9月中旬から接種が始まるのは前者、つまり「BA.1対応型」。第7波の主役となっている「BA.5」を直接のターゲットにした「BA.4/5対応型」ではない。
8月23日のNHKによると、米ファイザーと独ビオンテックは22日、「BA.4」と「BA.5」に対応するワクチンについて、FDA=米食品医薬品局に緊急使用の許可を求める申請を行った。
こちらのワクチンは、オミクロン株の「BA.4」と「BA.5」に対応する成分と、従来の新型コロナウイルスに対応する成分の2種類を含むタイプだ。
会社側によると、ワクチンの安全性などを確かめる臨床試験を今月中に始めるという。