ソフトクリームの見た目が変わった 日本に輸入当時の形が人気集める
ソフトクリームを巻いた状態で、表面が滑らかなものをよく見かける。コンビニエンスストアで、この形状のソフトクリームが販売されている。
実はこの形、日本にソフトクリームが誕生した当時の姿に近いという。ソフトクリームの形状の秘密と歴史を追った。
抽出口「丸型」と「星型」
丸くて柔らかい印象を与えるソフトクリームのこの形は、ソフトクリームをつくる「フリーザー」の抽出口に理由がある。クリームを絞り出す際の口が、丸い形なのだ。一方、一般的なソフトクリームの抽出口は、星型になっている。
ソフトクリームを、機械とともに日本に初めて輸入し、現在ソフトクリームフリーザーの国内シェアトップを誇る日世(大阪府茨木市)に取材した。同社マーケティング部で、日本ソフトクリーム協議会事務局の管理責任者・島田善之さんが答えた。
同協議会公式サイトによると、米国でソフトクリームフリーザーが誕生したのは1931年。日本に上陸したのは51年だ。この時の絞り口は、
「現在はやっている丸型に近いものでした」
と、島田さん。では、星型の誕生はいつなのか。詳細な年は分からないが、1952年ごろに米国内で星型の抽出口の特許が取られているという。「いつ頃日本に入ってきたのは不明ですが、米国から輸入された別のソフトクリームフリーザーは星型で、それが主流になったのでしょう」。
日世製のフリーザー抽出口が星型になったのは75年で、この間に丸型から星型に置き換わったのだろう、と島田さんは推測する。
5年前に「インスタ映え」で注目
日本では、絞り口が「星型」で作られたソフトクリームが一般的になってから、半世紀近くが経つことになる。近年「丸型」が増えてきたことから、いつ「原点回帰」したのか、島田さんに聞いた。2017年に誕生した「生クリーム専門店MILK」の流行が大きいだろう、と推察した。
当時、同店のソフトクリームが「インスタ映え」すると話題になり、大きな注目を集めた。この時、日世は同店からの依頼を受け抽出口を丸型に加工したそう。その後、「丸型が欲しい」という声が増えたと明かした。