安倍晋三元首相の国葬 若者は賛成、高齢者は反対が多い

   安倍晋三元首相の国葬について、テレビや新聞、通信社による世論調査が次々と公表されている。

   際立つのは世代間ギャップだ。年齢層の若い世代では、国葬に「賛成」が多数を占めるが、高齢者では、「反対」が多くなっている。

国葬の是非は(写真はイメージ)
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年齢層で回答が異なる

   FNNは2022年7月23、24日、全国の18歳以上の男女を対象に電話で世論調査した。国葬決定について、「よかった」が31.0%、「どちらかと言えばよかった」が19.1%。あわせて50.1%の人が「よかった」。一方、「よくなかった」は32.1%、「どちらかと言えばよくなかった」は14.8%。あわせて46.9%の人が「よくなかった」と答えた。

   特徴的だったのは、回答者の年齢層によって、「よかった」「よくなかった」が分かれたこと。「どちらかと言えば」も含めると、18~19歳を含めた20代は、「よかった」67.3%、「よくなかった」31.4%。30代は、それぞれ62.7%と30.3%。40代は、52.5%、46.7%。50代は、44.4%、51.7%。60代は、44.4%、54.2%。70歳以上は、39.1%、57.0%。

   年齢の若い人ほど「よかった」と答える人が多く、年齢の高い人ほど「よくなかった」と答える人が多かった。

   日経新聞も7月29~31日に電話世論調査を行い、国葬の賛否を聞いた。それによると、「賛成」43%、「反対」47%。「賛成」は18~39歳では57%、40~50代では45%、60歳以上では38%だった。

だんだん「賛成」が減る

   奈良市で7月8日、参院選の応援演説中に銃撃されて亡くなった安倍元首相について、14日には、政府が国葬の方針を固めたと報じられ、22日に閣議決定された。

   NHKが7月16日から3日間実施した電話世論調査では、政府の国葬方針について、「評価する」が49%、「評価しない」が38%だった。

   共同通信社が30、31両日に実施した全国電話世論調査によると、国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」が計45.1%だった。

   FNNや日経の調査も含めて、全体として、調査時期が新しくなるにつれて「賛成」が減って、「反対」が増えている。NHKや共同通信の調査では世代別の詳細は報じられていない。

地方紙はSNSアンケート

   同じような調査は地方紙もSNSで実施している。

   熊本日日新聞は「SNSこちら編集局」(S編)の登録者を対象にアンケートを7月15~19日に国葬の是非を聞いている。「どちらかといえば」を含めて賛成42.9%、反対49.6%となり、反対がやや上回った。

   年代別では、20代以下は「どちらかといえば」を含む賛成が59.4%を占めた。30代も賛成が51.4%。これに対し60代は、「どちらかといえば」を含む反対が60.4%と多数で、70代以上も反対56.4%、50代も反対52.5%だった。40代では賛否がほぼ並んでいた。

   鹿児島の南日本新聞「こちら373(こちミナ)」も、LINEの「こちミナ」に友だち登録した人を対象に22?23日、アンケートを実施した。「反対」「どちらかといえば反対」を合わせた反対が計72.2%。「賛成」「どちらかといえば賛成」の計23.1%を大きく上回った。

   両紙よると、反対の理由では森友・加計学園問題などへの批判が目立ったという。

「様々な意見」は承知

   森友学園問題をめぐっては裁判が続いている。MBSニュースによると、自殺した財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんの妻、雅子さんへの尋問が7月27日に行われた。雅子さんは、安倍晋三元総理の銃撃事件に初めて言及し、「黒い疑惑のまま安倍さんが国葬されてしまうと、まるで良い事しかしていないようなそういうイメージを抱くと思うんですね」と語っている。

   産経新聞によると、磯崎仁彦官房副長官は 7月25日の記者会見で、国葬について、「さまざまな意見があることは承知している」と述べた。

   その上で、安倍氏を国葬とする理由として、憲政史上最長の8年8か月にわたって国政を担ったことや東日本大震災からの復興、国内外から幅広い弔意が寄せられていることなどを挙げ、「こうした考え方を国民に説明していく考えだ」と強調した。

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