紙製「ブックマッチ」生産終了で「絶滅」 喫茶店でもマッチ見かけない時代
かつては火をつけるのに重宝されていた「マッチ」が、姿を消しつつある。日本で唯一、紙製のマッチ「ブックマッチ」の生産を続けてきた日東社(兵庫県姫路市)が、2022年7月21日で製造を終了したのだ。
昭和の時代には、当たり前のように家の中にマッチがあり、使っていたはず。だが令和の今では、マッチそのものを見る機会が減っているようだ。
たばこ店にも姿なく
日東社の公式ツイッターは5月23日の投稿で、ブックマッチについて「6月受注分を最後に製造終了」を明言していた。生産を終えた今、国内でのブックマッチ製造を行う会社は姿を消したことになる。
読売新聞オンライン7月27日付記事ではブックマッチの国内生産について、「ピークの82年に1万1423マッチトン(1マッチトン=30万~40万本相当)が製造された。安価な100円ライターや広告入りポケットティッシュが普及し、昨年にはわずか25マッチトンまで減少した」と、「日本燐寸(マッチ)工業会」(神戸市)などの話として紹介している。
ブックマッチに限らず、マッチは今、どこで手に入るのだろう。昔は喫茶店やバーに置いてあり、頼めば無料でもらえたと聞くが――。J-CASTトレンドは、東京都内のたばこ店を調査した。
1店目は、昔ながらのたたずまい。ショーケースにずっしり並んだたばこ専用のカウンターの上には呼び鈴、そして販売用と思われるライターが置いてあった。マッチの姿はなかった。
2店目は、たばこ自動販売機が設置されていた。受け渡しのための小窓の横には、「たばこ1カートン購入で、ライター1本プレゼント」の文字があった。聞いたところ、マッチは取り扱っていなかった。
無料で手に入れるのは容易ではない...
若者には、「マッチ」はなじみがないだろうか。20代の喫煙者2人に取材した。「もらったことがあるか」質問すると、東京都内在住のAさんは「ない」、沖縄県在住のBさんは「3~4年前に、居酒屋でもらった」と話した。
小・中学校の理科の授業で、「アルコールランプ」にマッチを使って火をつける、といった経験をした人もいるだろう。しかし、近年では「アルコールランプ」を使わない学校や、「火を扱わない」ケースもあるという。マッチになじむ機会が減っているのだ。
手に入れる機会は減ったものの、購入は比較的簡単だ。コンビニエンスストアや通販、100円均一ショップで販売されている。また一部の喫茶店でも、マッチを置いている場所はあるようだ。ツイッターでは、「純喫茶」でもらったとの報告や、収集している人の投稿が見られる。
一方、東京都では2020年4月1日から「東京都受動喫煙防止条例」「改正健康増進法」が施行され、原則屋内禁煙となった。この影響を受けて、都内では喫茶店では禁煙となっているケースが多い。コーヒーを飲みながらマッチでタバコに火をつける――それ自体、都内の喫茶店では難しい時代になった。