コロナ「第7波」も行動制限なしだが... 「病床使用率」悪化の懸念材料

   新型コロナウイルスの感染が急拡大している。オミクロン株の変異種「BA.5」によるものだ。すでに第6波のピーク時を超える感染者数になっている県も少なくない。しかし、今のところ「緊急事態宣言」や「まん延防止」など行動制限の動きはない。なぜなのか。

病床使用率がカギに
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「5つの対策」徹底

   「BA.5」の大きな特徴は強い感染力だ。「免疫逃避」という性質を持っており、ワクチン接種や過去の感染などで獲得した免疫をすり抜ける性質があるという。このため、過去のオミクロン株よりも感染力が強く、3回目のワクチンを接種した人でも感染するケースが出ている。

   しかしながら、岸田文雄首相は2022年7月14日の記者会見で、行動制限を行わずにワクチン接種の対象を拡大することなどを表明するにとどめた。

   ワクチン接種が遅れている10代から30代にも、3回目の接種を呼びかけるとともに、4回目接種の対象を医療従事者や高齢者施設の従事者に広げる方針だ。

   同じような考え方は、政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長も繰り返しており、ワクチン接種の加速や効果的な換気といった「5つの対策」の徹底を呼び掛けている。

沖縄は病床使用率6割

   大きな行動制限を行わない、という政府方針の根拠の一つとなっているのが「病室使用率」の低さだ。

   NHKによると、7月6日の全国の使用率は15%にとどまっている。これは重症化しやすい高齢者の多くが3回目ワクチン接種を終えていること、ワクチンを接種していた場合、重症化のリスクが低いことなどによる。3回目のワクチン接種が遅れた「第6波」の時とは大きく状況が異なっている。

   ただし、このデータは、毎週水曜日時点の各県の状況をもとに、毎週金曜日の夜以降に発表されるものなので、実際の感染状況とはタイムラグがある。

   例えば、最も感染が拡大している沖縄県では、6日時点では使用率が47%だったが、県の調べでは14日に60.6%まで上昇している。第6波の時は、「50%を超えると赤信号」とされていたので、すでにその状況に達している。

   産経新聞によると、第6波では病床使用率が週ごとに10ポイント程度悪化し、ピーク時には全国で56.9%となって病床がひっ迫。持病の悪化などで高齢者を中心に多くの死者が出た。

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