経口補水液「オーエスワン」20年以上の歴史 販売場所の意外な事実
本格的な夏がやってきた。日本各所では、最高気温30度以上の真夏日が続いている。テレビではこまめな水分補給を呼びかける場面が増えた。
大塚製薬工場(徳島県鳴門市)の経口補水液「オーエスワン(OS-1)」に新フレーバー「アップル風味」が登場、2022年7月4日に発売した。2001年の発売から20年以上が経つロングセラー商品だが、フレーバー付きが登場するのは初めてのこと。
地道な改良を続けている
脱水症状に有効なオーエスワンは、健康のために用いられる飲料で「味」が重要視される食品ではない感じがする。しかし、新風味が登場することに。この経緯について、大塚製薬工場広報に取材した。広報は、脱水症や脱水を伴う熱中症に利用してもらえるようになったが、その中で「より飲みやすい味」を求める声があったため、新フレーバーの発売を決めたそうだ。
新フレーバーが「りんご」となったのは、「オーエスワンの水・電解質の補給効果に関与する成分の濃度を同一に保ちながら、この組成に合うさまざまな風味を検討した結果」と理由を明かした。
20年以上の歴史のあるオーエスワンは、日々改良が続けられている。2003年にはアルコールを含まない香料に変更。14年には、食品中の放射性物質基準値がより厳しい「乳幼児規格適用食品」と同様の管理へ変更した。また、2016年には、一部原材料の変更や製造方法の変更により「すっきりとした風味」に生まれ変わっている。
コンビニで売っていない
オーエスワンは発売当初、500mlペットボトルのみだった。しかし2022年7月8日現在は、300mlペットボトルと200gのゼリー、パウダーが販売されている。
実は、この小さいサイズのペットボトルはサイズアップを重ねてきた歴史があった。2003年に200mlペットボトルが登場したが、16年には280mlが登場、200mlは終売した。そして、今回の新フレーバー発売に伴い、300mlが登場、280mlが終売となっている。それぞれ少量ずつの増量だ。このような微細なアップデートを重ねている理由についてたずねた。
2016年は、「体重の重い乳幼児にも対応しやすいよう」。今回はボトルを持ちやすい形状に変更したことに加えて、「容量もわかりやすい300mLとしました。また、幼児の一日あたりの目安量の下限である300mLにも合わせた量となっています」とミニサイズの変更理由を明かした。
また、オーエスワンは街中のコンビニエンスストアやスーパーマーケットで購入できない。そのことについて、「オーエスワンは食品であり、法的には販売場所等の規制はございません」と前置きをし、一方で「病者用食品」であることを理由に、
「医師の指示に基づき使用していただくことと、その際、消費者が使用方法などを医療従事者へお問い合わせしやすい場所や登録販売者がいる店舗などでの販売をお願いしており、流通代理店も医療用医薬品およびOTC医薬品(市販薬)の代理店等に限定させていただいております」
と明かした。
熱中症対策に勧める飲料は
また、グループ会社の大塚製薬から販売されている「ポカリスエット」との具体的な違いを聞いてみた。広報によると、オーエスワンは、脱水症のための食事療法「経口補水療法」に用いる病者用食品の経口補水液だ。ポカリスエットよりも電解質濃度が高く、糖濃度は低い組成だという。
そのため、「日常生活における水・電解質補給にはポカリスエットがお勧め」とし、「軽度から中等度の脱水症には経口補水液オーエスワンが適しています」と説明した。具体的には、「感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を原因とした脱水症」、「高齢者の経口摂取不足を原因とした脱水症」、「過度の発汗を原因とした脱水症」、「脱水を伴う熱中症」の4つを挙げた。
最後に、熱中症対策ではどちらを使うべきかについて聞くと、日常での対策としては「発汗により失われた水分、イオン(電解質)をスムーズに補給するための健康飲料であるポカリスエットがお勧めです」とした。オーエスワンについては、
「オーエスワンは、(消費者庁)許可表示に記載のある通り、軽度から中等度の脱水症や脱水を伴う熱中症になった場合の対処にご利用いただけますが、脱水症や熱中症になる前の日常の対策にご使用いただくものではありません」
2022年7月12日13時37分追記:大塚製薬工場より情報の追加および内容の修正があり、対応いたしました。