タコサンウインナー「1000匹」食べろって 人生観と体が変わった夜
読者のみなさんは今まで、大食いチャレンジをしたことがあるだろうか。ラーメン店では毎回大盛を頼むJ太だが、テレビ番組のような大食いに挑んだ記憶はない。
ある日、編集部の「J子」先輩から、カフェチェーン「PRONTO(プロント)」が運営する「キッサカバ(喫茶酒場)」へ行かないかと誘いがあった。なんでも、「タコサンウインナー」を1000匹食べてみたいのだとか。――けた、おかしくない?
メニュー表に潜む怪物
プロント広報・山下さん(左)
「プロント 市ヶ谷店」(東京都千代田区)へJ子先輩と向かった。17時半以降は酒場と喫茶店を融合させた「キッサカバ」として営業している。案内してくれるのはプロント広報の山下さん。今回、J太とJ子先輩といっしょに「1000匹」大食いに協力してくれる。
キッサカバに来るのは初めてだが、メニュー表は昭和チックで懐かしく、かわいらしい雰囲気だ。
ん?
威圧感あふれるメニューがある
「酒のアテ」欄の「タコサンウインナー」の項目には「1000匹」の文字が。4万9500円(税込)と、値段もまたひときわ目立つ。実在するメニューだったのか...。
山下さん「タコサンウインナーは人気のメニューなので、今回『1000匹』を用意してみました。大食いに挑戦してもらっても、パーティーでシェアして食べてもいいメニューです」
いろんな楽しみ方ができるようだ。ならば今日は「パーティー」として来たかったな。
なお、1000匹での注文は「要予約」。すべてのウインナーを一度にまとめて持ってくる、あるいは1皿ずつ小分けで出すなど、提供方法もまちまち。予約時の相談次第だ。今回は、1000匹まとめて持ってきてもらう。
1000匹の「タコ」たちとご対面
そして、その「赤い山」はやってきた。1000匹のタコサンウインナーだ。
比較用にスマートフォンを並べるが、参考にならない大きさ
山下さん「一匹一匹、(ウインナーに描かれている)顔は異なります。これが、かわいいと評判なんですよ」
それが1000匹も連なっているのだから壮観だ。「確かにかわいいですね~」と相づちを打つ余裕は、J太にはなかった。 とはいえ、僕も無策ではない。
J太「実は僕、この日のために肉体調整をしてきました」
J子「どういうこと?」
「内臓脂肪を減らせば胃袋が拡張できる体のスペースが増え、大食いに役立つのでは」という素人の考え(編注:医学的な根拠はありません)から、数週間かけて体重を4キログラム減量した。
作戦もある。今回は備え付けのケチャップには一切、手を付けません。余計な糖質などをとれば、満腹につながりやすいのでは、との判断だ。とにかくウインナーだけで胃袋を満たす。水分も唇を濡らす程度にしか飲まない。やってやるぞ。
2皿目で起きた異変
プロントの社員同士で以前、このウインナーの大食いに挑戦したと聞く。1人あたりの最高完食数は、40匹だったのだという。まあ僕なら1000匹ぐらいいけるだろう!
山下さん「目標は何匹ですか?」
J太「40匹食べます」
やっぱり実物を見て腰が引けていたJ太。
一皿に20匹をよそい、チャレンジがはじまる。
おいしい!
小学生のころにお弁当で食べた、あの素朴なウインナーの味。5分もせず20匹を平らげた。15秒に1匹のペース、まずまずだろう。
20匹のタコサンウインナー 1匹1匹に顔がある
そして2皿目。異変は34匹目で起きた。
J太「うっ」
どうやらケチャップなどで一切「味変」せずに、同じ味だけを食べ続けるという行為は一般人には向いていないらしい。満腹感と同時に「飽き」がくる。ウインナーを食べていて、人生で初めて「うっ」と声が出た。急に、1分に1匹というペースに。
J太(もう『アレ』をやるしかないようだ)
座ったまま腰を浮かし、また下ろして、という動作を繰り返してみる。胃の内容物を体に押し込むため、テレビの大食い番組でフードファイターがよくやる「あの動作」だ。効果があるか不明だが、少しでも可能性があるなら試さずにはいられない。その後6、7分ほどかけ、40匹を完食した。
食べたはずなのに減っていない
山下さん「40匹、完食しましたね!」
J太「...あと20匹いきます!」
まだやれるぞ、J太は。今日のためにがんばって準備をしてきたのだ。せっかくだから、もう少し挑戦したい。
新たに20匹を皿によそおう。どれぐらい減ったかな?とストックのウインナーたちを見ると、初期状態から全く変化があるようには見えない。乾いた笑いが出てくる。
J子「あっ、私ピーマン食べますね」
どうかウインナーも食べてください。
というわけで、41匹めを口にポイッ。完全に飲み込むまで1分近く。正直、あと19匹を食べられる気がしないけれど、気合だけで乗り切ってやる!
J太「あれ?」
山下さん「どうしました?」
J 太「さっきから1匹食べ進めるたびに、残りのウインナー数を数えているんですけど、何回カウントしても残り14匹のままなんです」
J子「もうダメみたいですね」
「これだけ苦しいのだから、だいぶ食べ進めたはずだ」という弱った心が見せた幻覚なのか、異空間に閉じ込められたのか。
復活の決め手になったのは
J子「あの、ケチャップ使えば...」
J太「絶対にダメです!!!血糖値を上げてはいけません」
J子「そんなに大きい声出してるの、初めて見た」
とはいえ、これ以上同じ味のウインナーは食べられない。最終手段に出よう。
J太「タバスコください」
山下さん「タバスコ!?」
もちろん、真剣に考えた結果のチョイスだ。一般的に、ケチャップに比べればタバスコの方が糖質やカロリーは少ない。また辛味成分には、食欲促進の効果が期待できる。ウインナーのやさしい味が刺激たっぷりのものへと変われば、飽きは消えそうだ。
タバスコを2、3振りし、ウインナーをパクリ。
J太「うん、いける...!」
ようやく納得のいく出汁が完成した板前のような面持ちで、ニヤリとする。ラストスパートだ。完全に箸が止まっていたところ、1匹あたり1分のペースまで回復する。ああタバスコよ、この世に生まれてきてくれありがとう!
というわけで
計3皿、60匹を完食しました。
J太「これはもう、私の勝利ということでよいでしょうか?」
山下さん「はい。あそこでタバスコを選ぶセンスが、勝利につながったのだと思います」
「1000匹」という本来の数は忘れてしまい、達成感から意味不明な発言をしているJ太。とりあえず山下さんは健闘を讃えてくれた。
その後なんだかんだで、山下さんとJ子先輩も20匹ずつ食べていた。残りはプロントのスタッフさんも総動員で、なんとか1000匹分のウインナーを完食した。次は、できれば何かしらのパーティー用のメニューとして注文してみたい。
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