PC「マウス」昔は底にボールがあった Z世代に「知ってる?」と尋ねたら
パソコンの操作に使う、マウス。底面にボールが備わり、球体の回転で動きを検知するボール式(機械式)マウスを見たことはあるだろうか。今では、レーザーやLEDといった光の反射でマウスの移動をとらえる「光学式」が主流となっている。
コロコロと動かす感触――実は、新品のボール式マウスを探すのはもはや難しいようだ。
光学式マウスにもデメリット
東京経営短期大学経営情報学科の元教授でITコーディネーターの木暮仁氏の公式サイトによると、最初のマウスは1964年に開発された。この時は2つの車輪で動きを検知する仕組みだったが、次第にボールが使われるようになった。1970年代前半にはボール式マウスが主流になったという。
電子部品メーカー「TDK」公式サイトによると、初の光学式マウスは1981年に誕生した。99年に米マイクロソフトも光学式マウス製品を発表すると、これ以降、主流だった機械式と光学式マウスの普及率が徐々に逆転していったという。
同サイトでは、ボール式だとほこりがたまり作動不良を起こすという難点があると指摘。一方で、光学式マウスでは机がガラス面だと正常に機能しないケースがあり、かつボール式よりも電力消費が大きい傾向にあるとのこと。「使用状況によっては、あえてボール式を選んだほうが快適に使える場合もある」と説明している。
ではボール式マウスは、今でも買えるのか。J-CASTトレンド記者は2022年5月下旬に東京、新宿区の大手家電量販店3店舗へ向かった。
A店では、レーザーやLEDを照射する光学式が多く、ボール式はなかった。スタッフに聞くと、ここ5年は店頭で見たことがないという。B店、C店も置いてはいなかった。C店スタッフによると、「10年前」の時点で光学式が主流で、直近5年間はボール式を見ていないという。
ただ、いずれの店舗でも「トラックボールマウス」というタイプは売られていた。底面ではないが、マウス上部や側面にボールが備わり、指で操作することでポインタを動かす仕組みだ。手首を固定したまま操作できるのが利点となっている。
ECサイト「アマゾン」や「サンワサプライ」公式通販サイトを見ても、ボール式は見当たらない。フリマアプリ「メルカリ」では、中古で販売中のボール式マウスであれば少なくともひとつ見つかった。
若者とボール式マウスの接点
Z世代はボール式マウスに触れたことがあるのか、東京都に住む大学生4人に聞いた。全員19歳だ。女性Aさんは「確か15年前には自宅のパソコンでボール式マウスを使った」と回答。ただ、現在は所有していない。
女性Bさんもボール式を持ってはいない。一方、「多分、小学校のパソコン室で使ったことがあります」。男性Cさんも同じだ。その印象を、「(球体が)消耗しそうですし、机が摩擦で汚れそうなので光学式のほうがいい」と語った。
女性Dさんは、見かけたことがあると回答。おぼろげながら、祖父所有のパソコンで昔使われていたような記憶があるとしつつ、自身では触れたかどうか覚えていないとした。