「URLつきツイート」表示されにくい可能性 情報届けたいなら「画像」で

■短期集中連載「SNS改革」(第4回)

   SNSマーケティング支援を手掛けるテテマーチ(東京都目黒区)の力を借り、J-CASTトレンド(以下、トレンド)公式ツイッターアカウントを改革する様子を数回に分けて伝える本連載。

   第3回は、「記者による独自企画」にゴールを設定し、工夫を重ねて取り組んだ結果を中心に分析した。独自企画ツイートに寄せられる反応数や質は増したが、本業の取材や執筆に追われ、記事ツイートの割合が増えた。そのため、過去データと比べて全体的にエンゲージメント(ツイートへのリアクション)が伸び悩む結果に。そこで、2022年3月中旬から半月に渡り、運用者の人柄が伝わりやすく、交流が目的の「オリジナル投稿」を増やす改善に臨んだ。

URLを載せない、画像ツイートに注力を
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運用改善された手応えあり...のはずが

   記者による「オリジナル投稿」とは、例えば以下のような形だ。

   桜を見ていない、14時を過ぎても昼食を取っていない、といった「自虐」を交えつつ、フォロワーに行動(リプライ)を促している。画像無し、文字だけのツイートだったが、15リプライがついた。

   このように、フォロワーとのやりとりを目的としたツイートを、主に昼過ぎや夕方に、毎日1回以上投稿した。毎朝8時ごろに投稿する、挨拶とは別だ。

   記事紹介ツイートや、記者による独自企画(製麺機のある生活、Jミーのアイスタイム)は継続している。記事を画像化して紹介する「画像ツイート」は、作業時間が多く取られるのに、反響がさほど得られないため、一旦止めた。

   記者としては、オリジナル投稿を通じたフォロワーとのやりとりが増え、ツイートへの反応も増した体感があった。何より、日々コンスタントにネタを考え、オリジナル投稿をするのは、思った以上に骨が折れた。苦労した分だけ、アカウント全体のエンゲージメントが大きく改善されたはず――。

   半月分の運用データを、テテマーチ社に意気揚々と提出した記者。しかし分析を担当した、ふくままさひろさんからは、こんな総評が。

「前回分析した22年1月のデータと比べ、インプレッション(ツイート表示回数)の平均値が500上がっています。ただ......『劇的に変化した』とは、言い難いですね」

記事ツイートだけど「URLは載せない」

   衝撃を受ける記者に、ふくまさんはこんなフォローをくれた。

「オリジナル投稿を増やしたのは、間違いなくよいことです。フォロワーと接した回数が増え、運用の質が上がりました」

   フォロワーとのコミュニケーションを重視するなら、オリジナル投稿は欠かせない。今後も、無理のない範囲で現状維持するのが望ましいという。

   それと並行し、取り組んでみてほしいと、ふくまさんが提案するのが「スクリーンショットでの、記事紹介」。ツイートからURLを排し、記事をスクリーンショットして複数枚の画像で見せる。手間がかかる割に、結果が出ないからと断念した、「画像ツイート」の代わりになりそうだ。しかも、工数は大幅減。

「運用データを見る限り、やはり記事ツイートが最大の武器のようです。重要部分を抜粋し、スクリーンショットで貼り付けるだけで、エンゲージメントが伸びると思います」(ふくまさん)

   連載第一回で、ふくまさんは「URLありのツイートは、『リンク先に飛ぶのは煩わしい』という理由でスルーされやすい属性がある」「記事を読んでもらう工夫は、個性強化の企画作りとは別途行うべき」と指摘していた。ツイッター社が公式に発表しているわけではないが、数年前から「URLつきツイートは、タイムラインに表示されにくい仕様になっている」可能性があるそうだ。

   情報発信しても、見られなければ意味が無い。フォロワーが非常に多く、何を投稿しても熱量高く受け止められるアカウントであれば話は変わってくるが、J-CASTトレンドの場合はまず「ツイートの中で完結させる」、すなわちURLリンクなどで、ツイッター以外の場所に誘導しない工夫が求められる。

   「リンク先に飛ばなくても、貼ってある画像を開くだけで、面白い記事を楽に読ませてくれるメディアアカウント」という印象を持ってもらう方に舵を切るのがよいのでは、とふくまさん。今は、ツイートから得られるPV数よりも、アカウントを活性化させ、広く知ってもらうための施策を取るべき段階だ。次の改革方針が決まった。

■現状維持
・コミュニケーション目的のオリジナル投稿は、1日1回以上行う
・記者による独自企画(製麺機のある生活、Jミーのアイスタイム)は可能な範囲で継続

■変更
・原則、記事はスクリーンショットをツイートに添付して紹介する。URLを載せない

   ふくまさんは「ツイッター運用は、(1)コンテンツ、(2)アカウントの人格、の2つで人気を循環させる」ことがポイントだと説明。J-CASTトレンドの場合、コンテンツは記事を指す。記事をきっかけにJ-CASTトレンドを知ってくれた人には、運用担当者(中の人)の人柄を、中の人を魅力に感じてフォローした人には記事を、それぞれ好ましく思ってもらえるよう、「両輪」を磨く努力が必要だという。


1990年生まれ。学生時代、クラブイベントやファッションショーの運営を経験。大学卒業後、2社を経てテテマーチ株式会社に入社。
同社にて、企業のSNSコミュニケーションの企画提案、及び自社のマーケティング企画等を兼務。アドテック東京2019・2020公式スピーカー、個人の活動としては、20代のマーケターイベントの企画や、chill outをコンセプトにした200人規模のイベント等を開催している。趣味は囲碁とファッションとツイッター。

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