「iPhone」中高年は買わない ガラケーから乗り換えでAndroid選ぶワケ

   中高年のスマートフォン(スマホ)ユーザーには、iPhoneが必ずしも大人気ではないとも読み取れそうなデータがある。2022年5月13日、調査会社MMD研究所から発表されたアンケート結果だ。

   同社は、スマホを所有する18歳~69歳の男女1万人(有効回答数1万)を対象に、OS(基本ソフト)のシェアの調査を実施。すると、男性30代以上、女性40代以上では、どの年代でもiPhoneよりもAndroid(アンドロイド)搭載端末の利用者の方が多かったのだ。

iPhoneは中高齢にはわかりづらい? (写真はiPhone13 Pro)
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ITに詳しくない年齢層

   MMD研究所の「2022年5月スマートフォンOSシェア調査」によると、回答した男性のうち10代、20代はiPhoneが多数派だ。10代のiPhone所有者は70.1%、Androidは28.0%となっている。

   しかし30~60代だとAndroidが多数派という結果に。60代は、iPhoneが32.3%、Android所有者は60.3%だ。

   女性も、10代はiPhoneが84.1%、Androidが15.3%と前者が圧倒的。しかし40代~60代ではAndroidの方が多い。60代の場合、iPhoneは28.2%、Androidは64.1%だった。男女とも似た傾向と言える。

   携帯会社との契約について個人へのアドバイスを行っている「携帯見直し本舗」(東京都港区)の代表・鮎原透仁氏に取材した。顧客は中高年がボリューム層で、40代がもっとも多いという。同社に日々相談に訪れる中高者には、iPhoneにあまり人気がなく、購入時にはAndroidスマホを選ぶ人が多いと同氏は明かした。

   前提として、中高年層はITに詳しくない人が多いというのだ。

ショップの店員に勧められ

   多いのは、中高年層が「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話からスマホに乗り換え「デビュー」するケースだ。ITに詳しくなく、スマホへのこだわりもない利用者にとって、シャープの「AQUOS sense」シリーズのように低価格帯のAndroidスマホを携帯電話ショップの店員に勧められ、そのまま買う傾向があると鮎原氏は説明する。

   例えば、4月28日発売の「sense6s」のau(KDDI)版は本体価格が4万470円だ。これに対して、現行のiPhoneで5万円を切る機種はない。

   さらにiPhoneシリーズでは、「iPhone 13」のように10万円前後の端末が多いが、以前のようにカメラ機能の大きな改善や指紋認証機能の搭載といった「わかりやすい進化」がないため、値段ほどの価値があるのかITに詳しくない中高年層にはわかりづらいという。そのため、iPhoneを避けることが多いとみる。

高額でも若者がiPhone選ぶ理由

   相談に来る顧客からは、次のような発言をよく聞くと鮎原氏。

「私はもうAndroidで『十分です』」

   この言葉に表されるように中高年の相談者は、iPhoneに対して「若い人が持つおしゃれな機種」「使いこなすのが難しそう」といった手の届きがたいイメージを持ち、敬遠していることが多いと話した。

   一方で、「値段の高さ」は若者にとっても購入に際しての敬遠要因にならないのか。鮎原氏によると、若年層はスマホに対する「依存度」が高く、そこに中高年層との差異がある。

   SNSで共有するため「映える」写真を撮りたい、周りが使っているから、Androidスマホよりもオシャレなケースの種類が多いから――。こうしたスマホへのこだわりから、iPhoneを選ぶのだという。

   加えて、「初めて手にした携帯電話がスマホ」という世代では、ガラケーに慣れた中高年層と比べて、携帯電話料金の高額化に違和感を持ちづらいと分析する。

   仮に通信料金とiPhone本体の分割代金をあわせて月々の支払いが1万円に達しても、「そんなもんだよね」と感じるため、値段を理由に若年層がiPhoneを避けるケースは中高齢層よりも少ないとした。

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