「PS5」ソニー決算説明会で質問続出 品薄どころか需要減の意外な可能性
品薄が続くゲーム機「プレイステーション(PS)5」。2022年には入手が容易になるのか。ゲームファンにとってぜひ知りたいであろう疑問が、ソニーの経営陣にぶつけられた。
ソニーグループは、2022年度の決算説明会を5月10日にオンラインで実施した。ここで、PS5に関連した質問が複数出たのだ。
供給力「若干足りない」
ソニーグループはPS5の販売台数について、2020年度の決算説明会(21年4月28日付)では、1480万台以上を21年度の目標としていると明かしていた。だが、21年度第3四半期決算説明会(22年2月2日)では、「1150万台程度」に見通しを引き下げた。「半導体を中心としたデバイス供給制約」や「全世界的な物流の混乱」を理由としている。
2021年度決算説明会では、2022年度の見込みは1800万台になるとしている。前年度、下方修正した「1150万台程度」から約650万台増だ。
今回の説明会の質疑応答のなかで、「PS5の調達について、品不足はこれから解消に向かうとみているのか。それとも、(販売を見込む)1800万台というのは需要に対して十分な供給ではないと考えているのか」という質問が飛び出した。
ソニーグループの十時裕樹副社長はこの見込みについて「あくまで、現時点で部品の供給にめどがついている」ものだと回答。ソニー側の感触としては、現状の需要を十分に満たすには「若干足りない」と見解を示した。
買えなさすぎて諦めムードも
東洋証券のシニアアナリスト・安田秀樹氏に取材した。今回の決算会見を視聴した。
そもそも、1800万台という販売台数見込みが、需要に対しては十分でないと十時副社長は説明している。その上で、この数字さえも達成できなければ当然供給難は続くと安田氏は指摘する。
昨年度は当初、1480万台分の生産に必要な部品確保のめどがたっていたとソニー側は説明したことがあるという。半面、2021年度の販売台数の見通しは1150万台に引き下げられた。こうした経緯から、発表通りの台数を製造できるとは限らないと安田氏。
仮に見込み数である1800万台を生産できても、物量網の乱れから欧州エリアに十分な数を輸送できない事態になり得ると続ける。
では日本に限定すると、今後の品薄は改善されるのか。安田氏に聞くと「わからない」としたうえで、「そろそろ(供給が)需要を満たしてもおかしくはない」と語る。
安田氏がユーザー側の行動を見ている限り、PS5があまりに手に入らないために、購買を諦める人が出現してきているという。今後の状況にもよるが、需要が下がることで結果的に供給とつりあう可能性があると指摘した。このケースでも結局は供給量が重要な要素となるため、「ちゃんと(十分な台数を)作ってもらわないと」と望んだ。