ウクライナが「発明」ヒマワリ油ピンチ チョコやマヨネーズの高騰が心配
ロシアのウクライナ侵攻が、チョコレートの価格に影響する可能性がある、と報じられている。チョコレートは製造の過程で、ヒマワリ油などを使う。ウクライナやロシアはヒマワリ油の世界最大の生産地で、有力な輸出国でもあるため、戦争で供給が滞り、値上げにつながるかもしれないという。
3割値上げ
日経新聞は2022年4月22日、「チョコ襲う『侵攻』の苦み ウクライナ産油脂原料が急騰 価格転嫁なら消費後退も」という記事を掲載している。
同紙によると、チョコレートはココアパウダーや砂糖に、口どけをよくするための油脂などを加えてつくる。欧州では一般にココアバターが使われるが、日本のように夏の暑さが厳しい国や新興国では代用油脂が使われることが多い。
ヒマワリ油は代用油脂の代表格だ。ロシアのウクライナ侵攻で国際価格が急騰し、4月中旬時点で、侵攻前よりも3割ほど上がっているという。ヒマワリ油は、世界の輸出量の約7割を両国で占めている。
チョコレートの価格はこのところ値上がり傾向にあるが、これはカカオ豆の値上がりなどによるもの。同紙は「チョコレート業界で代用油脂価格のウクライナ危機を受けた上昇分が本格的にコストとして織り込まれるのはこれからとみられる」と予想している。
加工食品に使われる
ヒマワリは元々観賞用の花だったが、油が採れることに気づいたのはウクライナの人々だったという。映画「ひまわり」はウクライナで撮影され、広大なヒマワリ畑が広がるラストシーンは有名だ。
欧州では、揚げ物油として広く使われ、オランダやベルギーではヒマワリ油の高騰で、食卓に影響が出ていることも報じられている。日本では、マヨネーズやサラダドレッシング、マーガリンなど加工食品の原料などとしても一部で使われているという。
女性セブン2022年3月24日号は「ウクライナ・ショック」でこれから値上がりする主なモノについてまとめている。そのなかで、流通アナリストの中井彰人さんは、ヒマワリ油に言及。「日本人にはあまりなじみがないかもしれませんが、世界的に見れば大豆油や菜種油に次いで消費されている食物油。ウクライナ情勢が収束を見なければ、年内に3割程度までの値上がりもありえます」と予測している。
日本では昨年来、食用油が何度も値上げされている。大豆や菜種、パーム油といった主原料の値上げによるものだが、そこにヒマワリ油も加わる格好だ。原料の奪い合いが一段と過熱しかねない。
ウクライナ・ショックでは、小麦やトウモロコシ、ソバなど多数の農産物への影響が指摘されているが、今後はヒマワリ油にも注視する必要がありそうだ。