メタバースに突如「ビッグカツ工場」 見学ツアーにVRクリエイター集結

   【J子が行く】J-CASTトレンド記者「J子」とその同僚たちが、体を張って「やってみた、食べてみた、行ってみた」をリポートします。

   どうも、メタバースを駆け回る「VR記者カスマル」です!今回はついに初取材。「バーチャルビッグカツ工場」の見学へ行ってきた。

   魚のすり身をフライしたスナック「SDビッグカツ」を作っている、「すぐる」(広島県呉市)がオープンした工場だ。まだまだ不慣れなVR、1人で行くのは不安・・・ということで、カスマルのお友達の草羽エルさんや、VRクリエイターらをお誘いしてツアーへ向かった。

集合写真 左から天護ねもさん、リーチャ隊長さん、ビッグカツくん、九条林檎さん、カスマル、おきゅたんbotさん、草羽エルさん
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ビッグカツくん、登場

   多彩な面々が集まった。バーチャルアイドルの「草羽エル」さん。VRに関する漫画を描き、ツイッターで配信している「リーチャ隊長」さん。バーチャルタレントとして広く活動している「九条林檎」さん。楽曲やゲーム実況のユーチューブ配信をしている「天護ねも」さん、バーチャル音楽イベント「くらげビート」を主催している「おきゅたんbot」さんだ。

   工場は、メタバースプラットフォーム「VRChat」上に存在する。1階に入ると、山のように積み重なったビッグカツの段ボールがお出迎え。質量(バーチャルだけど)と存在感に圧倒される。

   ツアーメンバーにあいさつをする。天護さんは謎の音声トラブルが発生し、機材の調整にてんやわんやとしていた。そんなところに、工場案内役の「ビッグカツくん」が登場。ビッグカツの包装に顔や手足が生えた独特のデザインだ。


このビッグカツ、動くぞ! 背中にはちゃんと原材料名が書かれている

謎の部屋の正体は

   工場の「サイズ感やレイアウトは(実物と)ほとんど同じ」だとか。これらはユーチューブ上の解説動画などを見てモデリングやVRChatを勉強し、ビッグカツくんの中の人が1人で再現したのだという。2020年ごろにも公開したが、22年になってVRChatのユーザーが増えてきたことでリニューアル、再オープンした。

カスマル「そもそもVR上に工場を再現した理由は?」
ビッグカツくん「ちょっと時間があったので、作ってみようかなと思いました」

   新型コロナウイルス禍などで時間に余裕ができたことや、他社の知り合いに誘われてVRに触れているうちに興味を持ったことがきっかけだという。「時間があったから」というレベルを超えてしまっている気がする。

   メンバーの集合場所は、工場の搬出口にあたる。内部にはさまざまなコンテンツがあり、アトラクションを楽しめる。少し進むと、右側に外からは入れない謎の部屋を発見。中をのぞくと...暗い部屋の中に、ビッグカツくんのオブジェクト(置物)が中で体育座りし、テレビを眺めている。


謎すぎる部屋があった
カスマル「何の部屋ですか?」
ビッグカツくん「ここは工務の部屋で、機械の修繕などを行います」

   細かな機械類の再現を面倒に感じた結果、ビッグカツくん(工務担当)がリラックスしている部屋にしたとの話だ。

一瞬でちょっとしたホラーに

   カスマルが気になっていたのが、フォークリフト。これ、実際に運転できるのだ。九条さんやリーチャ隊長さんがトライすると、リフトはおもむろに、前後に動き出す。

おきゅたんbotさん「これは(VR機器の)コントローラー操作で前後に動くんですか?」
ビッグカツくん「一応、左右にも動くのですが、反応が悪いです。あまり細かい調整ができず」

   最後は、内心ワクワクしていたカスマルも運転席に座った。これはちょっと楽しい。ただバック走行の途中で降りてしまったところ、フォークリフトは慣性がフル稼働しそのまま壁方向に突っ込んで行ってしまった。現実なら労働災害案件だろう。しっかりと停止してから降りましょう。


VR上でフォークリフト体験

   搬出口の近くには、事務所がある。デスクの上にパソコンや電話機が並び、奥にあった電話は「プルルルル・・・」と鳴り続けている。この鳴りっぷりは、現実の事務所でも同じなのだとか。


電話機の液晶にはビッグカツくんが 芸が細かい

   コントローラーを向けると、「電話に出る」とコマンドが出てきた。何も考えずに受話器を取ったその瞬間、

カスマル「うお!?!?!?」

突如として謎の部屋に

   うつろな表情でテレビを眺めている例のビッグカツくん(工務担当)が目の前に現れた。いや、違う。ビッグカツくんが現れたのではなく、カスマルがワープさせられたのだ。事務所の方から「(カスマルが)どこかに飛ばされましたよ!?」との困惑の声が聞こえてくる。密室空間で謎の生物と2人きりになり、一気にホラー展開に。

カスマル「このギミックの意図は・・・?」
ビッグカツくん「(VRChat上で)ワープ機能が使えるのを知って、どこかに入れてみたいと思って...」

   できるようになったことがあれば、とにかく試す。研究熱心な人みたいです。

2階のワールドへGO

   1階には、揚げ物に使う油がどれだけ酸化しているかを分析する「滴定」を普段行なっている第2の事務所、そして記念撮影スペースも設置。RPGゲームに出てくる「大剣」っぽいフォルムをしたビッグカツを手に、思い出の写真が撮れるよ!。

   2階のスペースもあるが、そのまま1階と空間としてつながっていない。ワープをして向かうのだ。誘導されるままに行くと、なんだか狭いぞ!?ここは・・・どうやらトイレだ。なぜかトイレが2階のワールド(VR上の空間)にスタート地点として設定されているようなのだ。これも、何かしらの意図があるのだろう。

ビッグカツくん「いえ、特にはないです」
リーチャ隊長さん「理由もなくトイレから始まるワールドなんか他にないよ!」

   2階工場の入口には、ホコリなどを落とすための送風機(エアーシャワー)らしき施設が。九条さんが「工場名物、『風でゴォー』のところだ!」とテンションを上げている。

   内部は、できあがったカツを包装する機械が設置されている。壁一面には製造過程での完成品の割合を示す「歩留まり率」、ビッグカツができるまでの写真付きの工程表、ビッグカツ公式キャラクター「ころもちゃん」やビッグカツくんのシュールなイラストなど、さまざまな情報がギッシリとつめ込まれている。雑多な感じがどこかオシャレでもある。

   ちなみにビッグカツくんは、すぐる公式サイトにも登場するが、扱いは非公式キャラクターらしい。なぜだ、ビッグカツくん。


左の女の子が「ころも」ちゃんだ

遊び心あふれる空間

   特に、ビッグカツのVR仕様のブランドロゴがかっこいい。ヘッドマウントディスプレーを付けたキャラクターが、ギザギザの歯でビッグカツにかじりついている意匠だ。


VR用仕様のブランドロゴがいかしてる
九条さん「あ、空調がある!こういう工場では空調が上部に埋め込まれているパターンと、床に置かれているパターンがあって・・・」

と、再現された空調機を見て、またもテンションを上げている。とにかくこういう工業にまつわるちょっとニッチな話が好きらしい。カスマルの知らない世界だが、これは工場見学にお誘いしてよかった?

   再現された包装用機械は、スピード感があふれている。中に入ったカツはベルトに運ばれると、瞬時にオレンジ色の袋に包まれていく。ビッグカツくんによると1分あたり100〜130個の包装ペースとのことだ。


包装を行う機械 上には歩留まりや本日のシフト表が。全てビッグカツくんがやらされているようだが...

   また、ビッグカツシリーズに使われるソースを作ったり、ソースに商品を漬け込んでおく部屋もある。ソースを作る釜からはモウモウと湯気が立ち上り、匂いまでが伝わってくるかのようだ。

ビッグカツくんにとってのビッグカツとは

   ひととおり見学したあとで、エルさんが「この工場では、ビッグカツ以外の商品も作られているんですか?」と質問した。ビッグカツくんによると、他には「いか天」や「のり天」といったスナックも作られている。これらの生産ラインは、VR上には未実装だ。今後に期待したいかも。

   気になるのは、この工場を丸々と再現したビッグカツくんの中の人の正体。照れ臭かったのか肩書きを途中まで明かさなかったが、実は「すぐる」創業者の3代目で専務取締役の大塩和孝さんなのだ。それを聞いて驚いたリーチャ隊長さんが、最後にこんな質問をした。

リーチャ隊長さん「ビッグカツさんにとって、ビッグカツとは?」
ビッグカツくん「お客さんとのエントリーポイント、接点のようなものだと思っています。『株式会社すぐる』と言っても、誰も知らない。一方『ビッグカツ』のことはみなさん知っているので、 SNSやVR上でブランド作りがやりやすいと感じています」

   知らず知らずのうちにビッグカツへの愛着がわきまくる工場見学でした。

   なお、工場は期間限定オープンで、4月30日まで公開されている。


機械から出てきたビッグカツも、手に取って写真を撮れるよ

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