「Firefox」サポートしないサービス続々 国内シェア今や6%足らずに
ウェブブラウザー「Firefox」について、ネット銀行「PayPay銀行」は2022年3月25日にサポートを終了した。推奨ブラウザー環境の対象外となり、今後は画面が正しく表示されなくなる可能性がある。
2004年に公開された米国発のFirefoxは、かつてはウィンドウズ搭載パソコン(PC)に標準搭載されていた「Internet Exploer」(IE)に次ぐ有力な選択肢として人気を集めた。現在では、事情が変わってきている。
2010年は国内2位、シェア2割強だった
アイルランドの「statcounter」というサービスは、ウェブブラウザーの利用率を集計している。公式サイトによると、世界中の200万以上のサイトへのアクセスを分析しているという。
それによると今から11年ほど前、2010年12月の国内パソコンブラウザーのシェアは、IEが58.6%で1位、そして2位にFirefoxが21.63%で続いていた。「Google Chrome」は9.96%で3位だ。世界集計でも傾向は同じ。同時期はIEが46.94%で1位。Firefoxは30.76%で2位。Chromeは14.85%で3位だった。
ところが22年2月の国内シェアは、1位がChrome(69.22%)。2位は、現在ウィンドウズの標準ブラウザーとなっている「Microsoft Edge」(15.13%)。3位がFirefox(5.68%)と順位が変わった。Firefoxは、大きくシェアを落としている。
NHK、Abema TVも「除外」
Firefoxの利用者数が少ないためだろうか。先述したPayPay銀行のように、ウェブサービスのサポート対象からFirefoxを外すケースは珍しくなくなっている。
GMOインターネットグループの「GMOペパボ」が運営しているハンドメイド品売買サイト「minne」は、22年2月28日にFirefoxのサポートを終了した。以降はFirefoxでの閲覧・動作に支障が生じ得るほか、Firefoxに関する問い合わせに回答はしないと説明している。
国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)が運営し、学術雑誌を公開しているサイト「J-STAGE」は、2018年12月12日の時点で、「セキュリティ強化のため」同日からFirefoxや古いバージョンのブラウザーでの利用ができない場合があると発表。Chromeや「Mac」パソコンに搭載されている「Safari」など推奨環境での閲覧を呼びかけた。
動画配信サービス「Abema TV」、パソコンブラウザーでの推奨環境はEdgeやChrome、Safariだ。Firefoxでアクセスすると「お使いのブラウザーは推奨環境外のため、正しく映像が再生されない可能性があります」とのメッセージが出る。
NHKの動画を配信する「NHKプラス」でも、Q&Aページによるとパソコンの推奨環境はEdge、Chrome、Safariで「Abema TV」と同じ。Firefoxは除外されている。
PayPay銀行の対応終了は事前に発表され、2022年3月18日ごろにツイッター上でも話題になった。「シェアが低いなら仕方がないか」という反応の一方、Firefox愛用者からは、「それでも使い続ける」との書き込みが10件以上みられた。
(2022年3月28日18時45分追記)「minne」の名称を誤って表記していたため、修正しました。