ウクライナ侵攻で日本の食が危ない 低い自給率で「質素な食事例」話題に

   ロシアのウクライナ侵攻が、日本の食卓に影響を与え始めている。ロシアとウクライナから農産物の輸出が滞れば、世界的に食料の供給に打撃を与え、その波が直接・間接的に日本にも及ぶ恐れがある。

   日本の食料自給率が低いことは周知の事実。もし食料の輸入がストップした場合、私たちの日々の食事がどうなるか、心配だ。

「JA北海道中央会 帯広支所」提供、2012年撮影
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「カロリーベース食料自給率」37%

   小麦の価格高値が続く見通しから、菓子メーカーの春華堂は、静岡土産として知られる「うなぎパイ」を2022年4月1日から値上げすると発表した。小麦は、国内消費のおよそ9割が輸入だ。日本の小麦の輸入先は北米とオーストラリアだが、ウクライナは小麦の大生産国。世界の小麦価格が高値に動く事態は避けられないだろう。

   ロシアからは水産物を輸出している。ウニやカニなどで影響が出始めている。

   別の懸念材料もある。物流だ。日本はノルウェー産のサーモンの輸入が多い。これまでは空輸の際、ロシア上空を飛行することで新鮮な状態で運ばれてきた。しかし、ロシアの領空は飛行禁止となっている。そのため、ノルウェー産サーモンの卸売価格が高騰しているとの報道がある。

   農林水産省の公式サイトが公表しているデータによると、2020(令和2)年度の日本のカロリーベース食料自給率は37%だ。

   カロリーベース食料自給率とは、エネルギー(カロリー)に着目して、国民に供給される熱量に対する国内生産の割合を示す指標。資料によると、1日・1人当たりに2269キロカロリーが供給され、国産供給に限ると、843キロカロリーとなっている。

   農水省サイトでは、食料を輸入に頼っている事実の周知に力を注いでいるようだ。「知ってる?日本の食糧事情」というページがある。副題は、「日本の食糧安全保障と食料自給率・食料自給力」だ。

   前述の農水省の最新データ(2020年度)によると、国内で最も自給率が高いものの1つは、コメで97%。最も低いのは、しょう油や納豆など日本の食卓には欠かせない「大豆」で、6%しかない。

毎食イモ、肉は9日に1食

   食料の輸入がストップしたら、私たちの食事はどうなるのか――。もしもの場合を表したものとして、インターネット上でしばしば引用される画像がある。「JA北海道中央会 帯広支所」で展示された食事例の模型だ。

   見ると、おかずは極めて少なく、イモ類が朝、昼、夜と毎食出てくる。みそ汁やサラダもなければ、肉類も見当たらない。説明書きを見ると、卵は「7日に1個」、食肉は「9日に1食」だ。普段の食事と比べると、かなり質素だろう。

   これは2012年に公開された画像で、当時の公開データをもとに作成された例だ。当時の食料自給率は39%で、パネルの説明にある「2015年」も同じく39%と、2020年度より2%高い。そうなると、現在の状況の方がより粗末なメニューになる恐れがある。

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