オミクロン感染で仕事休んだ もらえる手当や補償を詳しく教えます
オミクロン株による新型コロナウイルスの拡大で、仕事を休まざるを得ない人が急増している。今や数十人規模の職場なら、たいがい感染者が出ている状況だ。実際に感染していなくても、濃厚接触者となって休む場合もある。
正社員ならまだしもパートや派遣などの場合、収入減に直結する。ケースによるが、休業手当、傷病手当、労災給付などが受給可能だ。
休業手当のハードルは高い
この問題については、厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」というウェブサイトが詳しい。Q&A形式で様々な疑問に答えている。
「2. 労働基準法における休業手当、年次有給休暇」という項目の「問1」には、「新型コロナウイルスに感染したため会社を休む場合、休業手当は支払われますか」という質問が掲載されている。答えは以下だ。
「新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には『使用者の責に帰すべき事由による休業』に該当しないと考えられますので、休業手当は支払われません。なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者に確認ください」
傷病手当は出やすい
関連して以下の質問も並んでいる。
「問3 発熱などがあるため、年次有給休暇を取得して会社を休むことはできますか」
「問4 アルバイトやパートタイム労働者、派遣労働者、有期契約労働者も、休業手当の支払いや年次有給休暇の付与の対象となりますか」
「問5 労働基準法における休業手当や年次有給休暇などは、外国人の労働者にも適用されますか」
この問題は、「6 健康保険法等における傷病手当金、被扶養者の扱い」でも改めて取り上げられている。「問1 新型コロナウイルスに感染したため会社を休む場合、傷病手当金は支払われますか」という質問が出ている。
傷病手当については、「やむを得ず医療機関を受診できず、医師の意見書がない場合」においても、「事業主の証明書により、保険者において労務不能と認められる場合があります」と記され、認定条件は緩い。また、国民健康保険については、「市町村によっては、条例により、新型コロナウイルス感染症に感染するなどした被用者に傷病手当金を支給する場合があります」と記されている。
傷病手当の申請方法などは、全国健康保険協会の支部のサイトをチェックすると、わかりやすく出ている。国民健康保険についても、自治体のサイトが説明している。
「業務に起因して感染」の条件
「5 労災補償」についても出ている。「問1 労働者が新型コロナウイルスに感染した場合、労災保険給付の対象となりますか」という質問がある。
答えは「業務に起因して感染したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となります。また、新型コロナウイルス感染症による症状が持続し(罹患後症状があり)、療養や休業が必要と認められる場合にも、労災保険給付の対象となります」。
ここでのポイントは「業務に起因して感染」という条件があることだ。以下のような追加の質問が並ぶ。
「問4 感染経路が判明しない場合、どのように判断するのですか」
「問5 『複数の感染者が確認された労働環境下』とは、具体的にどのようなケースを想定しているのでしょうか」
「問6 「顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務」として想定しているの は、どのような業務でしょうか」
「問8 PCR検査で陽性でしたが、医療機関への受診はなく、保健所などの自治体の指示により、自宅(ホテル)において療養を行いました。当該療養期間について、医師からの証明がなくても休業補償給付の請求はできますか」
濃厚接触者は補償なし
オミクロンでは、濃厚接触者も膨大な人数になる。濃厚接触者の扱いはどうなるのだろうか。厚労省から、全国健康保険協会への「Q&A」は以下の通り。
問:本人には自覚症状がないものの、家族が感染し濃厚接触者になった等の事由において、本人が休暇を取得した場合には傷病手当金は支給されるのか。
答: 傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されない。