■フェブラリーステークス「カス丸の競馬GⅠ大予想」 白毛の女王ソダシ、今度こそ、ダートでも戴冠なるか!?
カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。なんか競馬をやりはじめたら、1年があっという間で早いじぇい。もう今年初めてのGI、フェブラリーステークス(2022年2月20日、東京競馬場、ダート1600メートル)だじぇい。今回は父娘2代で芝とダートのGI制覇を目指す白毛の桜花賞馬、ソダシがダートの舞台に再び登場。これは大注目だじぇい。昨年の覇者、カフェファラオも参戦するし、伏兵陣も多士済々だじぇい。さっそく、大予想だじぇい。でも、カスヨ姉さんはいきなり、ソダシを無印にしていて、今年も大穴狙いできゃすう?
カスヨ カス丸、いよいよ今年もはじまるわね。ワクワクするわ。おまけにソダシが、また人気になっているって。このレースも、わたしの出番というわけね。たしかにソダシの父、クロフネはすごかったわ。3歳時に芝のGI、NHKマイルカップ(2001年、東京1600メートル)に優勝。その年の秋にダートGIのジャパンカップダート(東京ダ2100メートル。現チャンピオンズカップ)にも勝った、芝とダートの「二刀流」だもの。だからといって、娘まで「二刀流」になれるとは、競馬はそんな甘くはないのよ。
カス丸 えっ、そうなの? なんできゃすう。
カスヨ 東京競馬場のダート1600メートル(マイル戦)はスピードとスタミナが必要なの。スタート直後に芝の部分を走るのはソダシにとってダッシュが利いていいかもしれないけれど、その分最初からスピードが上がりやすいのよ。しかもワンターン(コーナーが一つ)だから、そのスピードが落ちないまま最後の直線の坂を駆け上るのね。スタミナとスピードを兼ね備えていないとダメなワケがわかるでしょ。ソダシは470キログラムぐらいの馬格があるとはいえ、やっぱり女の子だから、オトコ馬相手だとやはり不利よね。すんなり、先頭で逃げ切るようなレース展開になれば、いいかもしれないけど......。ここはバッサリ切るわ。「白毛の女王」なんて言われて、たしかにカワイイけど、ちょっと人気になり過ぎなのよ。
本命の◎は、カフェファラオね。昨年のこのレースでは3番手を先行して抜け出し完勝したわ。GI初制覇だったけど、勝ちタイムも良馬場の1分34秒4と優秀だったし、東京の1600メートルはヒヤシンスステークス(リステッド/オープン)、ユニコーンステークス(GIII)に昨年のこのレースと3戦3勝と相性がいいのよ。暮れのチャンピオンズカップ(GI、中京1800メートル)は11着と掲示板(5着以内)にも載らない惨敗だったけど、不利な大外枠と初ブリンカーが合わなかったことが敗因だと考えられるわ。このレースはリピーターが多いレースでもあるから、実績のある東京コースへ戻れば、勝ち負けになる可能性が高いのよ。鞍上も頼りになる(福永)祐一ちゃんなら、2連覇間違いなしね。
カス丸 なんか、オンナの嫉妬があるみたいだじぇい。でも、カフェファラオはガジュマル爺も単穴▲だから、ソダシと人気を分け合う1頭みたいきゃすう。
ガジュマル爺 相変わらず、カスヨは今年もダメそうじゃの。競走馬に大切なのは血統なんじゃ。カス丸も、そこはもうわかってきていると思うがな。だから、ソダシは無印にはできん。昨年にGI、桜花賞(阪神 芝1600メートル)を勝っておるしな。敬意を表さないといかんじゃろう。だからといって、本命◎を打つほど信頼できるかといえば、そうじゃないんじゃ。わしは、ソダシは対抗○どまりじゃな。ダートのGI制覇のために狙った前走のチャンピオンズカップは、初のダート挑戦のうえ、秋華賞(GI、阪神2000メートル)からの挑戦でレース間隔が短かったのが裏目に出た様子もあったわけじゃが、2番人気で12着とは少々負けすぎのようにも思うがのう。これがマイナス材料じゃ。
一方、プラス材料は、今回はそのチャンピオンズカップ以来と十分に余裕を持ったローテーションなことじゃ。馬の状態は良さそうだし、週末に向けてお湿りほどの雨模様となれば、ソダシにとってはプラスに働きそうじゃ。そうなれば、父娘2代の芝とダートのGI制覇も見えてくるんじゃけどな......。
カス丸 じゃあ、ガジュマル爺の本命◎は?
ガジュマル爺 ちょっと悩んだんじゃが、本命◎はレッドルゼルじゃ。昨年のこのレースで4着。35秒5の上がり(最後の600メートル)3ハロンのタイムは、勝ったカフェファラオを上回っていたんじゃ。3走前には海外に遠征。ドバイゴールデンシャヒーン(GI、アラブ首長国連邦メイダン ダート1200メートル)で2着と好走。前走のJBCスプリント(JpnI、金沢ダ1400メートル)も優勝と勢いがある。ダート戦ばかりを19戦、1200~1400メートル戦を中心に走ってきたんじゃが、掲示板(5着以内)を外したのはわずか2回という堅実派。充実した今ならチャンスは大きいはずじゃ。距離不安がいわれるが、差し脚の使いどころで克服できると読んだわけじゃ。それも、鞍上が仕掛けのうまさでは定評がある川田将雅騎手であれば、問題なしじゃよ。直線逃げるソダシを、最後の最後でこの馬が差し切るシーンが思い浮かぶんじゃ。
カスヨ なあに、夢みたいなこと言ってんのよ。ダートの短距離馬のスタミナでは東京の1600メートルは無理なのよ。わたしの対抗○はサンライズノヴァだわ。昨年もJBCスプリントで2着に入るなど実力は健在。2018年からこのレースに挑み続けているんだけど4着、7着、3着、11着と馬券に絡んだのは1回だけなのよ。でも、2016年の新馬戦勝ちをはじめ、重賞勝ちの17年のユニコーンステークス(GIII)、18年と20年の武蔵野ステークス(GIII)はすべて東京の1600メートル戦とワンターンのこのコースと距離はこの馬に合っているのよ。間隔をあけて使ったほうが成績は良く、今回は年末の東京大賞典(GI、大井ダ2000メートル)からの臨戦で間隔があいている点を評価するわ。冬季五輪イヤーはゴールドアリュール産駒が活躍。2010年エスポワールシチー1着、2014年コパノリッキー1着、2018年ゴールドドリーム2着と連対中なの。得意の追い込みで一発があるかもしれないっていうことよ。
そして、単穴▲はインティね。もう8歳になったけど、忘れちゃいないかしら。3年前のこのレース覇者よ。7連勝でGIを制覇した後は3年間勝ち星(昨年のこのレースは6着)がないんだけど、人気を落とした実績馬がGIで激走することはよくあることだから、今回も見逃せないわ。ハナを切れなくても番手でゆったり運ぶことができれば、あっさりと勝つところまで考えられる。ユタカちゃん(武豊騎手)を背に、まだまだ侮れない存在だわ。
ソダシだけじゃない「二刀流」の実績馬
カス丸 なんか、伏兵がたくさんいて気になるじぇい。 カスヨ姉さんは今回もケイティブレイブを買うみたいだじぇい。
カスヨ もちろん! △の一番手はケイティブレイブよ。2020年には最低人気ながら2着に大健闘して古豪健在ぶりを発揮したこと、忘れられないわ。ただ、20年の帝王賞(JpnI、大井ダ2000メートル)以降は1年以上の休養を余儀なくされ、転厩(調教師の変更)もあり、ちぐはぐしたレースが続いているのよね。年齢も重ね、近走の成績からはまったく人気がないと思われるけど、1600メートル戦は2着に入った20年のかしわ記念(JpnI、船橋ダ1600メートル)以来。中距離では続かない集中力も、ブリンカー(遮眼革)を付けての出走なら、持つかもしれないのよ。きっと、また大穴を演出してくれると思うわ。
それと、ソリストサンダーよ。この馬も7歳馬でがんばっているのよね。地方ダートGI成績は昨年のかしわ記念で2着(1着はカジノフォンテン)、南部杯マイルチャンピオンシップ(JpnI、盛岡ダ1600メートル)で3着と好走しているし、中央(JRA)のGIレースは昨年のこのレースで5着があるわ。GIでは少し足りないかもしれないけど、武蔵野ステークス(GIII、東京ダ1600メートル)は一昨年に2着、昨年は1着とコース相性がいいのよ。前哨戦の根岸ステークス(GIII、東京ダ1400メートル)は1番人気に推されたけど9着。でも中団から、やや後ろのポジションからの差し脚は魅力ね。それに、馬体が太目残りと敗因がはっきりしているわ。巻き返しに期待したいわね。
カス丸 ソダシみたいに、芝とダートの「二刀流」を目指している馬が多いのも今回のレースの特徴だじぇい。
カスヨ そうなのよ。よく気が付いたわね、カス丸。穴馬探しがだいぶわかってきたじゃない。まずは、△エアスピネルだわ。この馬の芝の成績はスゴイわよ。2015年のデイリー杯2歳ステークス(GII、京都)、15年の京都金杯(GIII、京都)、17年の富士ステークス(GII/当時はGIII、東京)といずれも1600メートルの重賞ばかりを3勝。クラシック候補生で、2016年は皐月賞(GI、中山2000メートル。勝ち馬はディーマジェスティ)で4着、続く日本ダービー(GI、東京2400メートル。勝ち馬はマカヒキ)でも4着、菊花賞(GI、京都3000メートル。勝ち馬はサトノダイヤモンド)では5着と掲示板を外さぬ活躍。古馬になっては、マイル路線でGIに挑戦し続け、17年の安田記念(東京、勝ち馬はサトノアラジン)で5着、マイルチャンピオンシップ(CS、京都。勝ち馬はペルシアンナイト)で一歩及ばず2着、18年のマイルCSはステルヴィオの10着に敗れ、それ以降、砂のマイルGIに的を絞ったのね。昨年のこのレースは2着で、その後も1レースおきに2着と好走が見られる堅実な走りをするのね。いつも一生懸命だから、ファンも多いのよね。東京コースは武蔵野ステークスで昨年2着、一昨年が3着と相性も抜群。9歳になったんだけど、まだまだ見限れないわ。新たにコンビを組むミルコ・デムーロ騎手は1週間前の追い切りに騎乗して「9歳になったが、まだ若い」と好感触を得ているようす。悲願のGI制覇に向けて、今度こそ! 金メダルを獲らせてあげたいのよ!!
そして、もう1頭の△は、ダイワキャグニーね。この馬は、東京コースが大のお得意なの。2020年のエプソムカップ(GIII、1800メートル)勝ちやその年の毎日王冠(GII、1800メートル)で2着(勝ち馬はサリオス)、昨年の毎日王冠ではGI馬のシュネルマイスターやダノンキングリーの4着に食い込んでくるなど、コース実績は十分ね。初ダートとなった昨年の武蔵野ステークスは速い流れについていって見せ場十分な8着と健闘。前走の京都金杯(GIII、中京芝1600メートル)も得意の左回りで2着。東京のダート1600メートルはスピードとスタミナだから、芝の1800~2000メートルを得意にしている馬なら十分にこなせるわ。先行して粘りこむことができれば馬券圏内も十分に考えられるわよ。人気がないだろうから、ここが買いどきだわ。
ガジュマル爺 わしは、アルクトスじゃな。このレースは3年連続の参戦なんじゃ。2020年は9着。その後の20年、21年のマイルチャンピオンシップ南部杯を連覇。ジワジワと力をつけてきた7歳馬じゃ。500キログラム超の大型馬で、昨年のこのレースへは、チャンピオンズカップ(9着)、根岸ステークス(4着)のステップを踏んで参戦して2番人気で9着じゃったが、休み明けの好走が目立つことから、今年は南部杯から直行のローテーションを選択したわけじゃな。3歳時から、ずうっと手綱をとる田辺裕信騎手の鞍上も心強いわい。
もう1頭の△は、サンライズホープじゃ。前走の東海ステークス(GII、中京1800メートル)は2番人気で先行3番手からレースを進めたが、最後は伸びきれず4着と消化不良のレースに終わってしもうた。2019年のデビュー戦からダートばかりを16戦(6勝)走ってきた。1800メートル戦を中心に走ってきており、中京競馬場の1800メートル戦、GIチャンピオンズカップのほうが良さそうに思えたが、結果は15着と惨敗。立て直して距離短縮。このレースと相性の良い前走の東海Sを叩いての2戦目であれば、ローテーションもいいじゃろう。力を出せる状態に見えるわい。
カス丸 うーむ。生きのいい4歳馬か、それとも経験豊富なベテランか? そんな感じできゃすう。でも、勝つのは東京のダートマイルと相性のいい、7歳馬のソリストサンダーだじぇい。やっぱり、混戦でモノを言うのは経験できゃすう。今年のGI初戦から、バッチリ当てるじぇい!