オミクロン株「楽観論」何だったんだ 死者増え続けピークアウトまだ先

   オミクロン株のピークアウトがまだ見えない。特に注目すべきは死者の増加だ。一日当たりの死者は、すでにデルタ株の最大時を上回っている。重症者も増え続けている。

   オミクロンは無症状や軽症がほとんど、重症者や死者は少ない、とされていたが、そうした当初の楽観的な予想が大きく崩れる深刻な事態となっている。どうして死者が増え続け、ピークアウトにならないのだろうか。

オミクロン株の猛威が止まず、不安
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一日の死者はデルタ株を超えた

   NHKのまとめによると、全国の新型コロナウイルスによる死者は、2022年2月に入って急増している。

   1日が70人、2日が82人、3日が90人になり、デルタ株まん延時の最高だった9月8日の89人を上回った。さらに4日は103人、5日が117人と100人台が続き、6日の日曜は68人に減ったものの、7日は113人と再び100人台になっている。

   都道府県別では、大阪府が目立っている。5日は23人、7日は16人。東京都は5日が10人、7日が8人。感染拡大が早かった沖縄県では、死者ゼロが続いていたが、2月になって増え、7日までの累計で12人なっている。

   全国の重症者は1100人を突破、デルタ株のピーク時の半数程度になっている。厚生労働省によると、新型コロナウイルスではこれまで、重症者の約6割が亡くなっている。

   重症者数や死者は、感染のピークが過ぎて少したってから増えるとされているので、これからさらに増加することが想定されている。

ワクチンによる重症化防止効果

   オミクロン株の特徴に関しては、これまで様々な予測や分析があった。

   一つは「重症や死者は少ない」。感染が進んだ1月30日の段階でも、「第6波 重症化率25分の1」と報じた大手メディアもあった。しかし、2月に入って重症者や死者が増え、現状では、感染者数がデルタ株の約4倍、重症者数は約2分の1。死者数は同レベル以上になり、予想を上回る結果となっている。

   感染症専門医の忽那賢志さんは6日、「Yahoo!ニュース個人」で「新型コロナ オミクロン株の症状、経過、重症化のリスクは?」という記事を公開している。

   忽那さんは、オミクロン株で重症者が減った理由について、「ワクチン接種による重症化予防効果は保たれていることから、ワクチン接種者は感染しても重症化することが少なくなっています」「このため、見かけ上オミクロン株の重症度が低くなっているという側面もあると考えられています」と書いている。

   さらに、「ワクチン未接種者ではデルタ株と比較してオミクロン株の入院リスクは約25%低くなる程度にすぎない」という南ア、英国から報告をもとに、「(オミクロン株は)最初に武漢市で見つかったオリジナルの新型コロナウイルスやアルファ株と同程度の病原性と考えられます」と強調している。

南アが「何もしなかった」わけではない

   オミクロン株に関しては、「急激に感染が広がるが、ピークアウトも早い」という予測もあった。主として、南アのピークまでの日数や、ピークアウト後の急減などをもとにした分析だった。しかし今のところ、日本では大方の想定よりもピークアウトが遅れた形になっている。

   神戸大学の岩田健太郎教授は3日、読売新聞の「ヨミドクター」で「南アフリカのオミクロンが早期に収束したから、日本のオミクロンも早期に収束するだろう。そういう意見をあちこちで耳にします。そうなればよいとは思いますが、そうなるとは限らないのが、難しいところです」と書いている。

   岩田さんは、南アは日本と比べると高齢者が少ないこと、さらに昨年末までは夜間外出禁止令を出しており、現在もロックダウンレベル1ということで、一定の集団形成の禁止など、様々な社会抑制策を取り続けていることなども指摘。南アが「何もしなくても」「自然に」オミクロンを制圧したわけではないことを強調している。

   各国の感染の経過は、オミクロン株の特徴のみならず、「人の活動のありかた」も加味されて決定されることを指摘。英仏の状況なども引用しながら、「各国の感染対策も、国民の防護態度も異なります。あちらで起きることがこちらで起きるとは限らない、は当然なのです」と書いている。

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