オミクロン感染予防やっぱりマスク最強説 家庭内着用で7割ストップ
オミクロン株による新型コロナウイルスの拡大が止まらない。感染経路としては「家庭内」が半数という調査結果もあり、これまで以上に、家庭での予防策が大事になっている。「家庭内でもマスク」を推奨する自治体や専門家も目立つようになっている。
念には念を
鳥取県は新型コロナウイルスの特設サイトで、「家庭内でもオミクロン株に注意して感染対策の徹底を」と呼び掛けている。
「親族や友人など親しい間柄との家庭内での飲食の場で感染が確認されています。家庭内においても、会話時のマスクの着用など感染対策の徹底をお願いします」
「親しき仲にもマスクあり――十分な距離が取れない時、会話時は、家庭内でもマスクを着けましょう」
鳥取県の調査では、感染経路最も多いのは家庭で、34%を占めている。
家庭内でもマスクの着用を要望する自治体はこれまでにもあった。大半は、同居者が感染したり、本人自身が感染の疑いがあったりするケースだった。鳥取県は「オミクロン」の感染力の強さをもとに一歩踏み込んでいる。
医療専門家の中にも、「おうちマスク」を呼び掛けている人もいる。産経新聞は13日、「感染経路の半数『家庭内』 家でも不織布マスク、寒くても換気」という記事を公開している。
記事中で東京医科歯科大病院の具芳明医師は、オミクロン株の感染力を念頭に、「家庭に持ち込めば確実に二次感染すると思った方がいい」と強調。対策の一つとして、「家族でも対面するときには可能な限り不織布(ふしょくふ)のマスクを着用する」ことを推奨している。「わずかな体調の変化があれば、他の家族とは距離をとるなど警戒する必要がある」と語っている。
東京都の調査では感染経路の半数が「家庭」となっている。とくにオミクロン株では児童や生徒の感染が、これまでのコロナ以上に多い。そのため、家庭内で子どもから親への感染が多発していることが指摘され、家庭での対策が重要になっている。
咳は十尺先まで飛ぶ
マスクの効用については100年前に流行したスペイン風邪の対策でも強調されている。対応に当たった内務省衛生局が当時作成した詳細な報告書『流行性感冒――「スペイン風邪」大流行の記録 』(平凡社)では、マスクや咳について以下のようなことが報告されている。
・粗製並製の「ガーゼ」のマスクは防御効果なし。
・談話の際に菌は四尺先まで飛んでいる。患者周囲の危険界は四尺。
・咳嗽(咳、くしゃみ)では十尺先まで飛ぶ。咳嗽患者周囲の危険界は最短十尺。
当時すでにガーゼへの吹き付け実験結果などをもとに、使用するマスクについては、素材ごとの一平方インチ当たりの繊維数についても細かく定められている。
厚生労働省は、こうした先人の知見にさらなる検証を加えて今回のコロナウイルス対応のマスクについて、ウェブサイトで以下のように記している。
「マスクの素材ですが、一般的なマスクでは、不織布マスクが最も高い効果を持ちます。次に布マスク、その次にウレタンマスクの順に効果があります。もちろん、人の顔の形は千差万別ですので、同じ素材のマスクの間でも、自分の顔にぴったりとフィットしているマスクを選ぶことが重要です。また、マスクのフィルターの性能や布の厚さなどによっても差が出ます」
双方が不織布マスクで75%減
さらに厚労省は、具体的な効果について次のように記している。
「マスクは、相手のウイルス吸入量を減少させる効果より、自分からのウイルス拡散を防ぐ効果がより高くなります。仮に50センチの近距離に近づかざるを得なかった場合でも、相手だけがマスクを着用(布マスクで17%減、不織布マスクで47%減)するより、自分だけがマスクを着用(布マスク又は不織布マスクで7割以上減)する方が、より効果が高く、自分と相手の双方がマスクを着用することで、ウイルスの吸い込みを7割以上(双方が布マスクで7割減、不織布マスクで75%減)抑える効果があります」
「特に、室内で会話を行う場合は、マスクを正しく着用する必要があります。また、屋外ならばマスクは不要ということではありません。感染防止に必要な『最低1メートル』の間隔を確保できない場合もありますので、やはりマスクは重要です。自分から相手への感染拡大を防ぐために、話す時はいつでもマスクを着用しましょう」