コロナ感染者数こんなもんじゃない? 「無症状」をノーカウントの可能性
オミクロン株による新型コロナウイルスの感染者は2022年1月25日、全国で6万人を超えた。実際の感染者は、発表されている人数よりも多いのではないかという指摘も出ている。オミクロン株では無症状が多く、自分が感染していることに気づかない人がいるからだ。
感染の急拡大で医療機関がひっ迫し、検査キットの在庫も急減、受診や検査の人数が限られていることもあって、ますます本当の感染者数がつかみにくくなっている。
10倍くらいの感染者?
ナビタスクリニック・久住英二医師は2022年1月23日、ツイッターでこう発言した。
来院してくる患者は、「症状からしてコロナだね~、と抗原検査して、ものの1分ほどで反応が出るような人ばかりです。ウイルス量が多いからでしょう。医療機関に来るのは、そんな方々ばかりだから、実際には10倍くらい感染者いるのでは?」。
街中には無症状や、ごく軽症の感染者が隠れているのではないか、という指摘だ。さらに、「今日受診した方は、2日前に他院受診。そこではコロナの抗原検査もPCRも『できない』と。症状悪化するため、昨日も受診したが、検査してもらえず、今日は当院までこられた」と、不安があってもなかなか診察や検査をしてもらいない人がいることも伝えている。
宇都宮市インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長も、ツイッターで発信している。
倉持院長の診療所は年中無休で診察を続けている。しかし、「電話が多すぎて出られませんので、受診希望の方はHPから問診票をダウンロードして保健証と子供受給証などを添付してメールしてください」(1月23日)。
患者殺到で、診察に時間がかかっている現場の状況がわかる。
無症状者からクラスター
オミクロン株では無症状の人が少なくないことが、当初から指摘されていた。感染しているにもかかわらず、自覚がなく、検査を受けていない人が潜在しているといる可能性がある。
NHKはすでに1月8日、「オミクロン株 "自覚ない感染者"からの拡大に医師が危機感」として、この問題を取り上げている。
番組の中で埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授は、「感染していてウイルスを放出しているのに、あまり症状が出ず、自覚がなければ働いてしまうかもしれない」という人がいることを懸念していた。水面下に隠れてしまう感染者だ。周囲に感染を広げるスプレッダーになりかねない。
NHKは19日、実際に無症状者からクラスターが起きた例も報告している。奈良県の男性(30)は9日、友人の披露宴に出席したところ、あとで出席者の一人が無症状の感染者だったことがわかった。同じ円卓テーブルに座っていた8人のうち6人が感染したという。テーブルは座席部分にまで伸びるアクリル板が置かれ、隣の人の声も聞こえづらいくらいしっかり仕切られていた。しかし、オミクロンの感染力は強力だった。ほとんどの人がワクチンを2回接種していたにもかかわらず、感染したという。
東京では毎日数万人?
欧米ではオミクロン株で、日本よりもはるかに多くの感染者が出ている。その一因と言われるのが検査数の差だ。検査数が増えれば、必然的に感染者の数も増える。
日経新聞は24日、諸外国に比べ日本のコロナ検査の規模が小さいことを指摘している。同紙は、集計方法が異なるので単純には比べられないとしつつ、1日の人口1000人あたりの検査件数は、1月中旬時点で、英国は約20件、米国は約6件、韓国は約3件なのに対し、日本は約1件だという。
同紙は感染爆発で、全国の検査キットの在庫が急減、自治体や医療機関で、検査の停滞が起きていることも報じていた。もともと検査数が少ないにもかかわらず、検査キットが不足しているのが日本の現状だ。
テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では25日、同局の玉川徹氏が「実際、今、どれくらいの感染者が都内にいるんでしょう?」と昭和大医学部の二木芳人客員教授に聞いている。
二木氏は、東京で毎日1万前後の感染者が出ていることをもとに、「その数倍、3倍か5倍か分かりませんが、それくらいの方(感染者)がおいでになるんだろう」と、感染者の実数が発表よりも多い可能性を語っていた。