「劇場版 呪術廻戦 0」大ヒットの理由 「鬼滅の刃 無限列車編」と全然違う
アニメ映画「劇場版 呪術廻戦 0」が大人気だ。本作は、テレビアニメ「呪術廻戦」の続編ではない。それにも関わらず、なぜヒットしているのだろうか。
蔵書1万3000冊を誇る「マンガソムリエ」の兎来栄寿(とらいえいす)さんに、ヒットの理由を分析してもらった。「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」とは全く違う、「ある事情」があるようだ。
成功のポイントは3つ
「劇場版 呪術廻戦 0」は、「呪術廻戦」本編の前日譚である漫画「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」が映画化されたものだ。テレビアニメで未登場人物の2年・乙骨憂太(おっこつ・ゆうた)がメインで展開される。本編で活躍していた虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)らは登場しない。
それにも関わらず映画はヒット中だ。兎来さんは、成功のポイントは3つあると話す。
「1つは原作が独立していることです。アニメを見ていない人でも映画単体で楽しめるようになっています」
逆に話に繋がりがないことが、功を奏したという。「原作そのものが短く、内容が上質なため、単体の話として映画化できました。見る順番にこだわらずに、鑑賞できるのは強みです」。
2つ目に、「アニメ制作会社MAPPAの制作力の高さ」を挙げた。テレビアニメ版でもクオリティーの高さが評価されていたが、劇場版はより洗練されたという。「映画では、ストーリー、映像、劇伴(劇中、背景で流れる音楽)、そしてKing Gnuが歌う主題歌『一途』、『逆夢』が本当によくマッチしていました」と兎来さん。「原作では描かれなかった部分も、見事な映像美で表現されており原作ファンにもたまらない出来です」と絶賛する。
最後の3つ目は、主演を務めた2人の声優、乙骨役の緒方恵美さん、祈本里香役の花澤香菜さんだ。「声質が役に合っていたのはもちろんですが、演技が最高でした。アニメを見ていない、マンガしか読んでいない人も納得できるほど役と合っていました。誰が見ても違和感がなかったと思います」。
続編はあるか
それ以外にも、人気キャラクターである五条悟や夏油傑の活躍など、ファンサービスも多く、誰が見ても楽しい映像に仕上がっているそうだ。
上記で挙げた映画そのものの出来の良さ以外にも、入場者プレゼントの小冊子「呪術廻戦 0.5 東京都立呪術高等専門学校」も成功の一因であるだろうと兎来さんは話した。
まだ発表はないが、アニメ続編を期待しているファンも多い。今後について、「コロナ禍で映画館が苦戦している中、『鬼滅の刃』についでアニメがスマッシュヒットとなりました。成功ぶりを考えると、予算なども合わせて続編も大いに期待できます」と予想した。