オミクロン株は「終わりの始まり」説 コロナとの戦い、もうすぐ終了の期待
新型コロナウイルスのオミクロン株について、コロナ禍の「終わりの始まり」ではないかという記事が目に付くようになっている。オミクロン株の感染力は強いが、デルタ株などに比べて致死性は弱い、と言われているからだ。感染症は最終段階で、病原性が弱まることもあるため、期待感も込めた見方として、報じられている。
ウイルスの歴史に合致
外電では2021年12月2日、「オミクロン株が新型コロナウイルスの大流行の終わりを告げるシグナル」というドイツ人の学者の主張が報じられた。
米ブルームバーグも同日、「オミクロンは感染力がこれまでの変異株よりも強い可能性がある一方、初期の報告によれば致死性は低いともみられる。これは歴史的に観察されたウイルスの進化パターンに合致している」「オミクロン株は新型コロナパンデミックの終焉(しゅうえん)が近いことを示唆している可能性がある」という米国大手証券会社の専門家の見方を伝えた。
日本でも経済関係のメディアで、こうした見方を視野に入れた記事が出ている。「オミクロンショックは『単なる調整』か『終わりの始まり』か」(4日、会社四季報online)、「オミクロン株は新型コロナウイルスの『弱体化』版なのか」(7日、日経ビジネス)などだ。
結論付けるのはまだ早い
一般誌では「週刊文春」の12月16日号が、「帰省OKでいいの? オミクロンはコロナ"終わりの始まり"か」という記事を掲載している。
コロナのように、RNAをゲノムとするウイルスは変異を繰り返して進化する。原則として、感染が広がりやすい方向、感染力を高める方向に変異し、病原性は弱まる方向に変わるケースが多い。宿主の体力がある程度維持され、行動してくれた方が、ウイルスが広がりやすいからで、次第に風邪のウイルスのように変化するのが原則だ――という趣旨の専門家の見方を紹介している。
同誌は、「コロナもその過程にあるとすれば、コロナとの戦いは"終わりの始まり"に差し掛かっているのかもしれない」と期待感を込める。
もちろん、同時にオミクロン株については「全貌が見えてくるまでにはもう少し時間を要する」「まだ予断を許さない」という専門家の慎重な見方も伝えている。
読売新聞は9日、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が記者会見で、オミクロン株の症状は「デルタ株より軽いとするいくつかの証拠はあるが、結論づけるのは早すぎる」と語ったと紹介。さらに、WHOの専門家は「感染力が強くなるほど病気(の症状)は軽くなるとの思い込みがあるが、それは都市伝説だ」と述べ、感染対策を怠らないよう呼びかけたことを報じている。