ツイッター運用では「ゴール設定」を 「個性を強める企画づくり」を追求

■短期集中連載「SNS改革」(第2回)

   SNSマーケティング支援を手掛けるテテマーチ(東京都品川区)の力を借り、J-CASTトレンド(以下、トレンド)公式ツイッターアカウントを改革する様子を数回に分けて伝える本連載。

   第1回は同社アドバイザー4人と、トレンドツイッター担当者「J子」(本稿執筆者)が現状分析と課題の洗い出し、解決案の策定を行った。アカウントに個性を与える独自企画を考え、J子以外の記者も巻き込んで「チームで運用する」体制に切り替えた結果と、見えてきた新たな改善点とは。

ツイッター改革は一日してならず
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独自企画と画像ツイートの二軸

   2021年10月から半月に渡り、大まかに以下二つを実施した。得られた反響から最適な投稿時間を決めるため、ツイートのタイミングはあえて統一していない。

(1)J子以外の記者が、平日に独自の企画ツイートをする
(2)過去に公開した記事を複数枚の画像に落とし込んで投稿する

   (1)はアカウントの個性を増強すると共に、J子以外の記者にツイッターに慣れてもらう目的だ。例えば、甘いもの好きの記者が毎週金曜の夜にアイスを食べる際に画像ツイートし、「一週間お疲れさまでした」とフォロワーをねぎらう「はなきんアイスタイム」、料理が得意な記者が私物の「製麺機」との暮らしぶりを写真や動画でシュールに紹介する「製麺機のある生活」を平日に実施した。

   記事をツイートで紹介するだけだと一方的な情報発信になりがちで、フォロワーとの交流に発展しにくい。ツイートで使う画像の用意、文章考案に加え、リプライにも対応して、従来よりも一段上の運用を体感してもらった。ここから「チーム運用」に繋げたい。

   (2)はJ子が週に一度担当した。既に持っている武器(記事)を再活用しつつ、「ツイッターだけで完結する=URLリンク先に移動しなくてよいとアピールできる」コンテンツづくりが目的だ。アーカイブの中から記事を選んで要点を抜き出し、眺めるだけで記事内容が理解できるように画像化。従来のように過去記事を文章だけで紹介するより、いいね・RT数が多く得られた手応えがあった。

何のために企画をやっているの?

   テテマーチの「コンサルタント四天王」、井村桃子さん、ふくままさひろさん、タカミリホさん、石渡将利さんに半月分のアナリティクスデータを渡し、分析してもらった。さまざまなフィードバックを得たが、ここでは(1)(2)に関する情報に絞ってお届けする。

   まず(1)。井村さんは「製麺機のある生活」について、「画像クリックしてしっかり見ている人が思ったよりもいます。シュール好きなフォロワーが多いのかも」と話す。「いいね」など、誰にでも見えるエンゲージメント(ツイートへのリアクション)はさほど多くないが、画像クリック数など投稿者にしか見えない値がインプレッション(ツイートの表示回数)を上げていると説明する。

   始めて間もない企画だが、順調そうだ。記者が胸をなで下ろした瞬間、タカミさんがこんな質問を投げかけてきた。「この企画の『ゴール』って、なんでしょう」。

記者「そう言われると...企画を日々続けることに必死になって、どう終わるかなんて考えていなかったです」
井村さん「編集部記者の皆さんにツイッターに慣れてもらいつつ、アカウントの個性を強めていく取り組みでしたからね。次のステップとして、企画性を追加するのがよさそうです」
タカミさん「企画を楽しむには、ゴールが明確でないと、見る側もどうしたらいいかわからないですからね。『この企画で、どんな感情をフォロワーと共有したいのか』と考えて構想を組み立て、過程を追う面白さを提供していきましょう」

   わかりやすい例としては「応援したくなる」ゴール設定だ。「◯◯できるようになるまで×日」と期限を明示したり、「◯◯ができたら△△します!」と約束したり、応援してくれるフォロワー限定で何かをプレゼントしたりする方法がある。アカウント名の末尾に「○○挑戦中」とつけたり、企画ツイートをアカウントのトップに固定したりと、「今、こんなことをしている」と知ってもらう努力も欠かせない。

   さらに石渡さんは「リプライをもらう工夫」も大事だと言う。

「実際に話しかけようと思える要素を取り入れることで、一番大きな目標(世界一話しかけやすいメディアアカウントになる)に近づくのではと思います。アイスの企画なら、フォロワーにどんなアイスがおすすめか、と投げかけるのはどうでしょう」

   企画をやりっぱなしにするのではなく、見る人を巻き込む仕掛けが必要なのだ。話題を提供し、反応してもらうことでコミュニケーションが生まれれば、フォロワーとの距離も縮まる。

   そもそも、どんな企画をやるべきかわからなければ、リプライや投票、「質問箱」などのツールを介して、フォロワーからアイデアを募るのもよい。ふくまさん曰く、アカウントの動きを追いかけているユーザーには「応援するのが好きな人と、人がちょっとした苦労をしている姿を、いたずら心で見ている人がいそうです(笑)」 。あくまでも無理のない範囲で、「少し頑張ると、できそうなこと」に挑もう。

好発進できた理由

   画像ツイートも「インプレッション、エンゲージメント共にしっかり獲得できている」と井村さん。始めたてにしては好発進だ。

石渡さん「他社の数値分析から、画像クリックが増えると、インプレッションが伸びる相関が見えています。更に、『画像を見た後、エンゲージメント(いいね、RT、リプライなど)したくなる』伝え方を考えたいですね」

   これらの分析結果を踏まえ、各種企画をブラッシュアップしたうえで再度、運用を継続していく。


大手文具メーカー広報、大手化粧品メーカーのブランディング担当を経て、2020年にテテマーチに入社。
SNSのプランニングディレクターとしてツイッターやインスタグラムの戦略立案を担当。2021年に広報責任者に着任し、立ち上げに従事。

1995年生まれ。2019年にテテマーチJOIN後、サンリオ、ロッテ(クーリッシュ)、ユニバーサルミュージックなど幅広いジャンルでのSNSプロモーションを手掛け、中でもSNSで活躍するクリエイターやインフルエンサーとのタイアップ企画が得意。現在はブランドプロデューサーとしてブランドの開発・設計・グロースの支援を行う。好きなことは音楽とSNS。

1994年生まれ。前職では不動産テック企業にてオウンドメディアの運用に従事。
2020年11月テテマーチ株式会社に入社。大手企業を中心にインスタグラム・ツイッターの企画設計・運用等を行う。

1990年生まれ。学生時代、クラブイベントやファッションショーの運営を経験。大学卒業後、2社を経てテテマーチ株式会社に入社。
同社にて、企業のSNSコミュニケーションの企画提案、及び自社のマーケティング企画等を兼務。アドテック東京2019・2020公式スピーカー、個人の活動としては、20代のマーケターイベントの企画や、chill outをコンセプトにした200人規模のイベント等を開催している。趣味は囲碁とファッションとツイッター

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