オミクロン株対策「全ての国から入国禁止」 デルタ株拡大の二の舞防げるか
新型コロナウイルスの新株「オミクロン株」が猛スピードで世界に拡大しつつある。日本政府の水際作戦は海外の国々に比べて少し甘いのではないか、という声も出ていたが、岸田文雄首相は2021年11月29日、全ての国を対象に、当面の間、新規入国を原則停止すると表明、強硬な予防措置に踏み切った。
11月30日午前0時から
TBSによると、緊急避難的な予防措置として、まずは外国人の入国については、11月30日午前0時より、全世界を対象に禁止される。今月8日から例外的に認めてきたビジネス目的の短期滞在者や留学生、技能実習生を含め全ての国を対象に当面の間、入国を原則停止となる。オミクロン株が確認された国から帰国する日本人に対しても、指定された施設での隔離を義務づけるという。
オミクロン株はWHO(世界保健機関)の報告からわずか4日のうちに、欧州各国で感染者が報告されるなど、かつてない勢いで感染が拡大している。
読売テレビによると、29日朝までに、感染者は欧州を中心に12の国と地域に及んでおり、感染者がいない国でも水際対策を相次ぎ発表している。
米国、韓国、タイ、マレーシアなどがアフリカ南部の国からの外国人の入国を禁止したり、対象国への渡航禁止を勧告したりしているほか、国内で感染者が確認されているイスラエルはアフリカからだけでなく、全ての外国人の入国を14日間禁止するなど対策を一段と強めていた。
当初は「10日間待機」だった
日本も、すでに水際作戦の対象国を南アフリカほか9か国に拡大し、これらの国からの帰国者や、在留資格を持つ外国人入国者に、指定宿泊施設での10日間の待機を義務付けるなどの対応策をとっていた。しかし諸外国と比べてややおとなしい内容。このままだと、4~5月のデルタ株の二の舞になるのではないか、という心配の声も出始めていた。
東京スポーツによると、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」コメンテーターの玉川徹氏は29日、同番組で、「2週間、すべての外国人を入国禁止にするが合理的」「これから世界中でどんどん広がっていく可能性がある。今日本は9か国からの入国者が対象ですが、南アフリカだけでなく、いろんなところから経由して入ってくるとなれば、どこから入ってくるかもわからない」と危機感を示した。
宇都宮市インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長も27日、ツイッターを更新。政府の水際対策強化策の内容を痛烈に批判していた。
デルタ株は対策に遅れ
日本でも猛威を振るったデルタ株については、早くから流入の危険性が指摘されていたが、政府の対応はやや遅れた。
当初はインドからの入国者・帰国者については、「自宅などで入国後14日間の待機」。5月1日から「検疫所長の指定する場所で待機」、「入国後3日目に改めて検査」となった。
4月29日の発表では、すでにインドはじめ、ネパールやパキスタンなどからの帰国者で、空港検疫で新型コロナウイルスの患者1人、無症状病原体保有者13人が報告されていた。その後、少したってからデルタ株は爆発的に広がった。
今回のオミクロン株は、感染力が強く、ワクチンも効かない可能性があるとされている。現在のところ、実態がよくわかっていない。水際作戦を担当する空港関係者にとっては、ストレスの多い作業になりそうだ。航空会社やホテル業界なども対応に追われることになる。