「バルミューダスマホ」10万円の価値どこに 性能同じで半額の端末あるが
「曲線だけ」で構成されたスマートフォン(スマホ)「BALMUDA Phone」が、2021年11月26日に発売だ。高級家電で知られるバルミューダが開発した端末だが、インターネットニュースサイトの記事のコメント欄やツイッターでは、独特のデザインや10万円超の価格に疑問を投げかけるユーザーがみられる。
11月19日付「ケータイWatch」記事によると、「BALMUDA Phone」(SIMフリー版)の「ホワイト」色は、初回出荷分の予約が埋まった。「賛否」が分かれているような状態だが、専門家の見方は。
専門家は「フィット感」評価
ITジャーナリストの三上洋氏に取材した。「BALMUDA Phone」は「手に持った時のフィット感がすごくいい」と話す。樹脂製で丸みを帯びた背面が手になじむとのこと。また、ホーム画面ではあまり多くのアプリが並ばず、必要なものだけをすぐに起動できるコンセプトで、フィット感やこのシンプルさを「面白い」と評価した。
背面が湾曲し、「持ちやすい」サイズ感をアピールした機種だ。高さ123ミリ(mm)、幅69ミリ、厚さ13.7ミリ。通信会社としてこの端末を販売するソフトバンク公式サイトによると、5G(第5世代移動通信システム)対応スマホでは「最小級サイズ」という。
三上氏によると、この端末の発表以来、複数のIT系ニュースサイトのアクセスランキングの上位で「BALMUDA Phone」を扱う記事が連日で登場している。中には端末の値段や性能に否定的な記事もあるが、ネガティブな報道も含めて認知が広がり、興味を持つ人が増えたのではないかと分析した。
「話題のスマホにとりあえず触りたい」人は一定数いるとのこと。ほかにも、女性や手が小さめの人など、小サイズのスマホを求めていたユーザー、他者とは違うスマホを持ちたい人、そして様々な端末をコレクションとして集めている「スマホマニア」が購入しているのではないかと推測する。上述の「ケータイWatch」同記事によると、ソフトバンク広報は「予約は順調に推移している」と語ったという。
「高級感」がない、しかし...
ただ「現状、本体の性能と価格という面では、(他のスマホに)太刀打ちできていない」。スマホの処理を担うチップ性能やメインメモリ、データ容量といったスペック面を考えると、「ライバル会社からはおよそ5万円を切るようなモデルで、同じようなものが出ている」という。性能に対して値段が高いとの指摘だ。
価格はSIMフリーモデルが10万4800円(税込)で、ソフトバンクで販売されるモデルは14万3280円(同)。ディスプレーは約4.9インチ。保存可能なデータ容量は128ギガバイトで、「メインメモリ」は6ギガバイトだ。
また三上氏いわく、バルミューダ製品は、「高性能」さと「高級感」を持ったものがヒットしてきた。この2点が、「BALMUDA Phone」にはないと指摘。手へのフィット感やデザインという魅力についても「私は好きなのですが」と前置きつつ、「カジュアルに使い倒す」デザインであり、「高級感」ではないと語る。同社の成功例から外れていることもあり、今後の売れ行きは「ちょっと厳しいかな」と推測した。
一方、今回「BALMUDA Technologies」という新ブランドを立ち上げてスマホを売り出したのは、あくまで今後スマートスピーカーといったIoT(モノのインターネット)家電を作る上での出発点としているのではないかと三上氏はみる。一般的なIoT家電はスマホで制御や操作を行う。今後「BALMUDA Technologies」ブランドのIoT家電が登場した時、その「コントローラー」として「BALMUDA Phone」があれば、ブランドの統一感を出せるという。
「『BALMUDA Technologies』というブランドで今後IoT家電分野に乗り出していくとしたら、いい『取っ掛かり』になったのではないかと思います」(三上氏)