文科省の推奨仕様パソコン「低スぺック」指摘 「Windows 11」入れて動くのか
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」。全国の小中学生へのコンピューター端末配備が進められている。ただ報道やツイッター上では、文科省の標準仕様案で提示されているパソコンの性能が「低いのではないか」との指摘が時折みられる。
「ウィキペディア」を閲覧しただけで「CPU」(中央処理装置)の使用率が100%――。ツイッターでは11月、文科省推奨の標準仕様に準拠したパソコン(PC)についてこんな投稿があった。一般的に、CPU使用率100%の状態だとPCの処理能力に余裕がなくなり、動作が鈍くなる。仮に事実なら、PCの性能が不安だが......。
「Windows 10 Pro相当」を指定
GIGAスクール構想の取り組みは2019年12月にスタート。児童・生徒が使う学習用端末を「1人1台」配備するため、国公立の小中学校や特別支援学校には、1台あたり4.5万円の補助金が国から支給されてきた。文科省の発表によれば、21年7月末までに全自治体等の96.2%が1人1台分の端末整備を完了した。うち、30.9%が「Windows」PCだ。
「ITmedia」20年2月4日付記事によれば、日本マイクロソフトが教育機関に向け「GIGAスクールパッケージ」というPCシリーズを発表した時、文科省に準拠した仕様案について「スペックが低すぎるのではないか」という質問が記者団から寄せられた。マイクロソフトは、学校で「Office」ソフトをインストールして通常の使い方をする分は問題ないとの考えを示したという。
仕様案の中で、「Windows」のPCでは「Windows 10 Pro相当」が指定されている。米マイクロソフトは2021年10月5日に「Windows 11」の提供を開始した。「スペック低すぎ」と言われたPCが、新たな基本ソフトに更新して大丈夫か。
動画撮影・編集作業が生じたら
マイクロソフト公式サイトでは、「11」の利用に最低限必要なスペック(システム要件)を提示している。CPUは「1ギガヘルツ(GHz) 以上で2コア以上の64ビット互換プロセッサ」、メモリは4ギガバイト(GB)、ストレージは64 GBを要求している。
文科省の「標準仕様書」によれば、Windows端末の推奨スペックは、CPUが「Intel Celeron 同等以上 2016年8月以降に製品化されたもの」。ストレージは「64GB以上」、メモリは「4GB以上」だ。例えば2017年発売の「Celeron N4000」は「1.10ギガヘルツ」で「2コア」を備えている。CPU・メモリ・ストレージは要件を満たしているようだ。
国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授に取材した。GIGAスクール構想に詳しい。豊福氏は実際に学校で配布されているのと同じ「GIGAスクール仕様」のパソコンをPCメーカーから借り、「11」の導入テストを行ったという。スペックはCPUが「Celeron N4000」、ストレージは「64GB」、メモリは「4GB」だ。
「Windows 11」はインストールでき、「Office」のチャットツールなども正常に動作したとのことだ。ただ、この先動画撮影や編集といったより「重い処理」が必要な作業が生じたら、性能不足により難しいのではないかとする声も、教育現場では上がっていると指摘した。