渋谷ハロウィーン復活の夜 センター街大混雑、でも歩行者の姿よく見ると
10月31日のハロウィーン。毎年、東京・渋谷駅付近に仮装をした人々が集い、時には大騒ぎをしながら「渋谷センター街」を練り歩く光景が、近年定着していた。しかし2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で渋谷区が自粛を求め、例年ほどのにぎわいは見られなかった。
そして、今年。直近の都の新型コロナウイルス新規感染者は20~30人前後で推移している。さらにハロウィーン当日は日曜日。人出が増えそうな条件が重なったこの日、渋谷を取材した。
仮装姿で「写真撮ろう」
京王バスで渋谷に向かう。10月30日・31日のハロウィーン期間は、渋谷駅周辺の混乱や交通規制による大幅な遅延が見込まれるとして、17時半ごろからは各路線で一部区間の運行休止が告知されていた。例えば中野駅と渋谷駅を結ぶ「渋63」「渋64」は、渋谷区役所~渋谷駅を運休し、渋谷区役所周辺の臨時バス停が終点になっていた。
18時過ぎにセンター街北側の「井の頭通り」を、北西から南東の渋谷駅に向かって歩いた。徐々に人が増えていく。「スペイン坂」との交差点からセンター街中心部を覗くと、若者が密集した光景が広がった。他人と1メートルに満たない間隔で練り歩いている。
拡声器を持った警察官が、立ち止まらずに歩くよう呼びかける。「ご覧のようにセンター街は大勢の皆さんで混雑しています。これから右方向(渋谷駅側)に向かう方は、センター街を通ることなく、西武デパート方向へお進みください」と、迂回への協力を喚起するアナウンスも響いてきた。
センター街中心部には10~20メートルおきに数人の警官が配置されていた。仮装した人もいる。映画館のCM「NO MORE 映画泥棒」に出てくる「パトランプ男」やアニメ・映画「東京卍リベンジャーズ」に登場する暴走族を模したようなコスプレ、スパイダーマン、サンタクロース、囚人や「キョンシー」など、様々な衣装に身を包んでいた。
仮装をしている人同士が声をかけ合い、スマートフォンで写真を撮り合う場面も多々あった。「あっ『キャプテン・アメリカ』だ。写真撮ろう」といった会話が飛び交う。ただ仮装姿はまばらで、9割超は普段着で歩いていた。
渋谷駅側(スクランブル交差点側)に抜けるにつれ、密集度はさらに強まる。「大盛堂書店」と「SHIBUYA TSUTAYA」に挟まれた入口エリアは、雨のため傘をさしていると周りの人にぶつけそうになるほどだった。
アルコールは禁止
ただ見た限り、誰もが基本的にマスクを着用。大声で暴れているような人や、路上で飲酒する若者はいなかった。
渋谷区は2019年から、「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」に基づき、ハロウィーン期間や年末年始について路上飲酒や迷惑行為を禁じており、周辺のコンビニエンスストアといった事業者にも酒類の販売自粛を求めている。
今回も10月24日と、10月29日~11月1日にかけて、夜の時間帯を中心に路上飲酒を禁止。また複数報道によると、周辺のコンビニや量販店など42店舗に酒類の販売自粛を求めた。
記者はセンター街付近のコンビニ4軒を訪れたが、いずれも渋谷区の要請により酒類販売を自粛。お酒のコーナーには棚を覆うようにブルーシートなどが敷かれ、購入できないようになっていた。