■天皇賞(秋)「カス丸の競馬GI大予想」
引退決定コントレイルは勝てるか
カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週の菊花賞は本命◎タイトルホルダーが見事逃げ切って勝利したじぇい。◎▲で馬単、当たったきゃすう。今週は秋の天皇賞(2021年10月31日、東京競馬場、芝2000メートル)だじぇい。それにしてもすごいメンバーがそろったきゃすう。あと2戦での引退を発表した無敗の3冠馬コントレイル、いまやマイル(1600メートル)以下なら無敵のグランアレグリア、そして皐月賞馬のエフフォーリアの3強が激突するじぇい。「現役最強馬」決定戦きゃすう。「強い馬なら俺にまかせろ」といつも豪語しているガジュマル爺の本命◎はグランアレグリアだじぇい。この馬にとって2000メートルはちょっと長い気もするけど、ホントに勝てるきゃすう?
グランアレグリアの距離不安は...
ガジュマル爺 大丈夫じゃ。強い馬を選ぶわしの目に狂いがないことなど、これまでの馬選びを見てればわかるじゃろ。グランアレグリアは5歳の牝馬。デビュー以来13戦8勝2着2回3着1回。なんと掲示板(5着以内)を外したことがない超堅実馬じゃ。新馬戦(東京、1600メートル)に続くサウジアラビアロイヤルカップ(GIII、東京、1600メートル)と、古馬と初対戦だった阪神カップ(GII、阪神1400メートル)の3戦(いずれも1着)以外はすべてGIレースに出走してきた超エリートなんじゃ。GI3連勝(2020年安田記念、スプリンターズステークス、マイルチャンピオンシップ)を含む5勝は圧倒的で、この戦績から現役最強馬と名乗っても十分に値する活躍じゃ。なかでも圧巻だったのは、昨年の安田記念じゃ。あのアーモンドアイを上がり(最後の600メートル)33秒7の豪脚で置き去りにして優勝したことは覚えておるじゃろ。戦ってきた相手が超一流で、しかも勝敗のつけ方がハナ差なんてもんじゃなく、誰が見ても勝ったとはっきりした形で勝利しておるんじゃ。ただ、一点。カス丸が言うように懸念されるのは2000メートルの距離なんじゃ。3走前の大阪杯(GI、阪神2000メートル、4着)は雨で馬場状態が極悪だったとはいえ、4コーナーで同じ位置にいたコントレイルを差し切れなかったことに、一抹の不安を感じさせるんじゃ。とはいえ、今度は東京コースじゃ。ここでは6戦4勝2着1回と得意のコース。天皇賞・秋は昔から、マイルGI馬が好成績を残しておるレースでもあるから、長い直線(550メートル)を味方に距離克服は可能と見ておるんじゃ。鞍上も日本のリーディングジョッキー、クリストフ・ルメール騎手なら、万全というもんじゃ。
カス丸 大演説が始まったきゃすう。しかし、距離克服のところは「?」のままだじぇい。それに8月にのどの手術をしたというのが気にかかるきゃすう。穴狙いのカスヨ姉さんの本命◎は1番人気が予想されてるコントレイルだじぇい。カスヨさんは時々こういう馬選びをするけど、「穴狙い」の看板を降ろしたほうがいいきゃすう。
カスヨ 今回はね、本当に仕方ないのよ。どう考えてもコントレイルが勝つんだから。そのわけを説明するわ。先ずは、レースの舞台となる東京の2000メートルね。このコースはね、すごくいびつな形態になっているのよね。スタンド正面に立って東京コース全体を見渡すとするわね。右手を見ると、通常の芝コースの第1コーナーから第2コーナーにかけてカーブがあるんだけど、その外側にもう1本、並行してコースがあるのよ。それは第2コーナー辺りで通常コースと合体するんだけど、その外側コースの一番奥、つまり第1コーナーの外側あたりがスタート地点になるわけ。この外側のコース形態だと第2コーナーを回るときにカーブが急になるから明らかに内枠が有利になるのよね。コントレイルは今回1番内の枠に入ったわ。これは勝ってくださいと言わんばかりの枠なのよ。内ラチ(柵)沿いに最短距離を走れるから最後の直線に入るまでの消耗が少なくてすむわ。末脚も今回のメンバーならトップクラスだし、いくらグランアレグリアの末脚が鋭いといっても、こちらも昨年のダービーを勝利した馬なんだから、東京の直線は得意中の得意よ。爺が言ったように春の大阪杯ではグランアレグリアに抜かせなかったし、爺が言うのと違って負ける理由がないのよ。現役最強馬の冠はコントレイルがかぶるはずだわ。
カス丸 コントレイルにスキはなさそうきゃすう。この2頭に迫る対抗〇が、爺はカレンブーケドール、カスヨさんはワールドプレミアだじぇい。
ガジュマル爺 カレンブーケドールは惜しい競馬がずっと続いておるんじゃ。2019年のオークス(GI、東京2400メートル)ではラブズオンリーユー、秋華賞(GI、京都2000メートル)ではクロノジェネシスの2着。続くジャパンカップ(GI、東京2400メートル)ではアーモンドアイの2着と、GIで好走するんじゃが勝ち鞍に恵まれないできたんじゃ。ただ、その実力がGI級であることは誰の目にも明らかなところじゃ。今シーズンは日経賞(GII、中山2500メートル、2着)、天皇賞・春(GI、阪神3200メートル、3着)、宝塚記念(GI、阪神2200メートル、4着)と、いずれも前めの好位につけて脚を伸ばして、掲示板を外さない堅実ぶりじゃ。天皇賞・春から戸崎圭太騎手が乗り続けておるし、そろそろ手の内に入れたじゃろうから、待望のGIに手が届いてもおかしくないはずじゃ。
カスヨ ワールドプレミアはね、今回、天皇賞(春)以来のレースということと、叩き良化型タイプだということ、そして2400m以上に良績が集まってるという点から実力・実績より劣った人気になると思うわ。でもねえ、GI2勝はこのメンバーでは上位の実績よ。昨年のフィエールマンが驚くような末脚で追い込んできたけど、そういうシーンが十分ありえる馬なのよね。なにより馬券的妙味が十二分なのよ。
カス丸 ふーん、そんなにうまくいくきゃすう? 3強のうちのエフフォーリアは、爺が押さえ△、カスヨさんは押さえにも入れてないじぇい。そんなに評価が低いきゃすう?
エフフォーリアはまだまだ未熟で非力?
ガジュマル爺 まあ、皐月賞馬エフフォーリアはダービーでシャフリヤールにハナ差敗れたんじゃが、3歳トップクラスであることは間違いないじゃろ。クラシック3冠目の菊花賞には目もくれず、古馬との対戦になる天皇賞・秋を選んだのは2000メートルの距離適性を考慮したためじゃ。東京コースは3戦2勝2着1回と相性もいいんじゃが、わからないところもあるんじゃ。今年の3歳牡馬はスプリンターズステークス(GI、中山1200メートル)でピクシーナイトが古馬を一蹴して勝ったんじゃが、ダービー馬のシャフリヤールがトライアルで簡単に4着に敗れたり、先週の菊花賞では牝馬が3着に食い込んできたりと、強いのか弱いのか、もう一つはっきりしないんじゃ。それに天皇賞・秋での3歳馬の成績がよくないこともあって、評価を下げたというわけじゃな。
カスヨ わたしも同じ考えね。直近10年では1番人気になった3歳馬がようやく2着、3着と拾える程度なのよ。暮れの有馬記念まで行けば3歳だって古馬レベルにまで成長できて話は別なのかもしれないけれど、3歳のこの時期では超一流の古馬を相手にしたらなかなか勝てないんだと思うわ。東京2000メートルで行われた天皇賞・秋において3歳で勝利したのはバブルガムフェロー1頭のみなんだから(シンボリクリスエスの時は中山開催)。今年の3歳は強い世代とは言われてるんだけど、強いのはマイルまでで中距離以上は確信が持てないのよね。
カス丸 ふーん、3歳で現役最強とまでは一気にいかないきゃすう? それじゃ、3強崩しの伏兵たちの顔ぶれだじぇい。どんなのがいるきゃすう?
カスヨ わたしはまずヒシイグアスよ。目下4連勝中の馬ね。とにかくどのレースの内容も充実しているのよね。今回は明確な逃げ馬がいないメンバー構成だから、鞍上のコウヘイちゃん(松山弘平騎手)の思い切った先行策に期待するところだわ。ヨーイドンの競馬だと分が悪いことはわかっているからね。3年前に逃げて3着に粘ったキセキのようにバンバン飛ばして行ってほしいわ。 もう一頭は、ペルシアンナイトよ。7歳になったんだけど、前走の札幌記念では3着と衰えはまったく見せていないわ。たしかに勝つのは厳しいかもしれないけれど展開次第で3着なら十分あってもおかしくないわよ。
ガジュマル爺 わしの一頭目はラストドラフトじゃな。父ノヴェリストはドイツの競走馬で、2013年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(英国)やサンクルー大賞典(フランス)など通算成績はGI4勝を含む11戦9勝。2014年から日本で種牡馬として活躍しておるんじゃ。母マルセリーナは2011年の桜花賞馬。母の父はディープインパクトという良血馬で、デビュー当時は評価が高かったんじゃ。新馬戦(2018年、東京1800メートル)では、この天皇賞・秋で人気の一角となりそうなヒシイグアスを退け、2戦目で重賞の京成杯(2019年GIII、中山2000メートル)に連勝してみせたんじゃ。その後は勝ち星に恵まれず、昨年のアルゼンチン共和国杯(GII、東京2500メートル)で2着、今年のAJC杯(GII、中山2200メートル)3着と今一歩のレースが続いておるんじゃ。休みを挟みながら13戦(2勝2着2回3着2回)と大事に使われているのは良血で高い能力を秘めている証じゃ。GIはサートゥルナーリアが勝った2019年の皐月賞(中山2000メートル)以来の挑戦なんじゃが、距離2000メートルはこの馬にはぴったしじゃ。前哨戦の毎日王冠(GII、東京1800メートル)は13着と初めて大敗を喫したんじゃが、これがいいガス抜きになったはずで、休み明けをひと叩きして、人気馬にひと泡吹かす絶好のチャンス到来というところのはずじゃ。 もう一頭はポタジェじゃな。友道康夫厩舎の3頭出し(出走)の1頭で、馬主は金子真人オーナー(ユーキャンスマイルとの2頭出し)じゃ。11戦して4着以下なしの成績は超堅実で馬主孝行な馬じゃ。昨夏から今年1月の白富士ステークス(リステッド、東京2000メートル)まで4連勝。3月の金鯱賞(GII、中京2000メートル、優勝馬はギベオン)では3冠牝馬のデアリングタクト(2着)に2分の1馬身遅れた3着と好走し重賞でも通用するところを見せたんじゃ。前走の毎日王冠(GII、東京1800メートル)でも3着。勝ったのが3歳マイル王(GI、NHKマイルカップ優勝)のシュネルマイスター、2着がGI安田記念(東京1600メートル)勝ちのダノンキングリーであることを考えれば、実力がついてきたのははっきりしておる。鞍上もいま乗れている川田将雅騎手ならば、3強を蹴散らす有力候補といってもええじゃろ。
カス丸 ふーん、3強で1番評価が低かったのがエフフォーリアきゃすう。でも、今年のダービーはコントレイルが勝った年より、時計は相当速かったじぇい。それにひと夏越したエフフォーリアの体つきと調教ぶりは超一流古馬に並ぶ迫力きゃすう。ダービーより距離が短いのもいいし、内枠もいいじぇい。本命◎にするきゃすう。