肝臓に障害引き起こす「エキノコックス」 愛知県知多半島で何度も見つかる

   愛知県の知多半島内で寄生虫「エキノコックス」が、これまで何度か確認されている。愛知県に取材すると、今年度は現時点で発生していないが事態は把握していると話した。

   厚生労働省のサイトによると、エキノコックスに感染することで発症する「エキノコックス症」は、肝臓の腫れや発熱を引き起こす。発症までは通常、成人で10年以上要するが、放置すると死に至ることもあるという。北海道のキタキツネが主な感染源とのことだが、ツイッター上では本州での出現に驚く人も。

北海道のキタキツネが主な感染源とされてきたが(写真は本文とは無関係です)
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愛知県では知多半島外での確認ゼロ

   国立感染症研究所の「エキノコックス症とは」というページによると、エキノコックスの成虫に感染しているキツネやイヌなどの糞便内の虫卵を、ヒトが経口摂取することで感染する。ヒト―ヒト感染はない。

   愛知県衛生研究所公式サイトによれば、同県内では2014年3月、知多半島内の阿久比町で捕獲された野犬からエキノコックスを初めて確認した。これを受け、県は14年6月から野犬のエキノコックス症の調査を実施。知多半島を中心に、野犬などの糞便中のエキノコックス虫卵を検査している。県の調査では、17年度に3件、19年度に1件、20年度に4件、野犬の糞便からエキノコックス陽性を確認した。いずれも知多半島内だ。

   J-CASTトレンドは愛知県の感染症対策課に取材した。「継続的に確認されているという状況なので、引き続き把握に努めていきます」とのことだ。21年度は10月15日現在まで確認していない。知多半島外で確認したことはないとのことだ。

   愛知県でのヒトの感染例は2017年と18年に1人ずつ報告があるものの、いずれも県外・国外の出身者で、県外で感染したものとみられる。また、知多半島にどういった経路でエキノコックスが侵入してきたかは不明という。

北海道以外の感染例は

   厚労省サイトにある「犬のエキノコックス症対応ガイドライン2004」(2004年12月付)によると、エキノコックス属には、「多包条虫」と「単包条虫」を含む4種類の生物が存在する。日本国内(北海道)で流行が確認されているのは多包条虫で、愛知県が調査しているのもこの種だ。

   北海道以外の地区での多包虫症例は、2004年12月当時までに約80例報告。そのほとんどは、北海道か海外のエキノコックス流行地に居住した経験がある患者だが、流行地での居住歴がない症例も存在する。

   ガイドライン内の資料によると、1927年~2001年までに、「本州で感染したと考えられる症例」は、青森県で9例、宮城県で3例、東京都と長野県で各2例、秋田県、福井県、京都府、沖縄県で各1例あった。

   また国立感染症研究所の2019年3月29日の発表によると、ヒトのエキノコックス症例は、国内では1999年4月~2018年末までに425例が報告された。400例が多包虫症で、多包虫症のうち382例が北海道での届け出だった。

   北海道以外だと、東京都5例、青森県、神奈川県、愛知県が各2例、山形県、埼玉県、千葉県、福井県、三重県、大阪府、山口県各1例の届け出があった。推定感染地は、「国内392例、海外1例、不明7例」とのこと。どの都道府県で感染したと推定されているかは書かれていない。

   多包虫症400例のうち、283例は2006年4月1日~18年12月31日に報告されたものだ。この期間の集計に限っては、推定感染地がもう少し細かく記載されている。283例中279例が国内での感染と推定され、うち272例は北海道での感染とみられているが、7例は「都道府県不明」とのこと。

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