ドコモ通信障害でも「無傷」だった人 「デュアルSIM」で別回線契約が生きた
NTTドコモで2021年10月14日から15日にかけて、通信障害が発生した。全国のユーザーに影響が及び、同社は15日に会見を開いて、田村穂積副社長が謝罪した。
一方で、一部スマートフォン(スマホ)に搭載されている「デュアルSIM」機能のおかげで、ことなきを得たという声がツイッター上に出ている。
1台の端末で回線使い分け
ドコモの発表によれば、14日17時ごろから音声通話やデータ通信が一時的に利用しづらくなった。15日朝5時5分に5G・4G回線では「全て復旧」したが、3Gは一部で利用しづらい状況が続いた。原因は「ネットワーク工事の切り戻しに伴う信号量増大によるネットワーク輻輳(ふくそう=アクセスが集中し混雑すること)」としている。
回線がつながらず困惑するユーザーが出た一方、スマホの「デュアルSIM」機能で接続不能を回避できた人もいた。
キャリアの回線の利用には、「SIMカード」という通信サービス加入者の情報を識別するためのチップが必要だ。近年では最初からSIMを内蔵し、オンラインなどで加入者の情報を書き込むことでSIMカードのように使える「eSIM」機能を持ったスマホもある。
「デュアルSIM」搭載のスマホでは、SIMカードやeSIMを計2つ利用できる。すると1台の端末でありながら、状況に応じてそれぞれのSIMの回線を切り替えたり、機種によっては「データ通信は回線A、音声通話は回線B」と使い分けたりできる。これなら、異なる通信会社の回線を使うことも可能だ。
普段メインで使う回線とは別の通信会社と契約し、あらかじめデュアルSIMで2回線を用意しておけば、今回のようなトラブル発生時にも、影響の及んでいない回線をすぐに利用できる。
14日~15日のツイッター上では、デュアルSIMで別会社とも回線契約をしているドコモユーザーから、「ドコモがつながらないから楽天モバイルに切り替えた。デュアルSIMで助かった」ほか、別回線を利用して通信障害を乗り越えたという報告が数十件出ている。
また今回の件を受けて、リスクヘッジのためにデュアルSIMで別会社の回線契約を検討する、デュアルSIM対応端末の購入を検討する、との投稿もあった。
月額基本料金ゼロ円のプラン
有事に備えてデュアルSIMで2回線目を用意するにあたり、例えばこんな「方法」がある。
2021年9月末にサービスを開始したKDDIの「povo2.0」は、180日間以上課金をしなければ規定により契約解除となる可能性はあるが、月額基本料金はゼロ円だ。「楽天モバイル」のプラン「Rakuten UN-LIMIT VI」も、契約1回線目までは月間データ利用量が1ギガバイト以下の場合、月額基本料金ゼロ。いずれも、費用的なハードルは低そうだ。
なお、「デュアルSIM」の形態も機種によってさまざま。SIMカードを2つ挿入してデュアルSIMとして使えるもの(ASUS「Zenfone 8」など)、SIMカード1つと「eSIM」1つを組み合わせて使えるもの(「Google Pixel 5」「iPhone 12」など)、「eSIM」を2つ使うこともできる「デュアルeSIM」を搭載したもの(「iPhone 13」など)がある。