スイッチ「有機ELモデル」発売前から転売 PS5並み超品薄の懸念、専門家の見方は

   ニンテンドースイッチの「有機ELモデル」の発売日が、2021年10月8日に迫ってきた。その2日前の時点で、フリマアプリ「メルカリ」ではすでに4万8000円~6万円(税込・以下同)で転売での出品が行われている。定価は3万7980円だ。

   ツイッター上では、家電量販店や任天堂公式オンラインショップでの抽選販売に「落ちた」との報告が続出し、人気の高さを感じさせる有機ELモデル。「プレイステーション5」(PS5)のような超品薄に陥る恐れはあるのか。

「ニンテンドースイッチ」の「有機ELモデル」(画像は任天堂公式サイトから)
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既存のスイッチより映像「断然キレイ」

   J-CASTトレンドは、大和証券でゲーム市場を分析しているアナリスト・鈴木崇生氏に取材した。すでに実機に触れ、ゲームもプレーしたという。

   有機ELモデルの本体のディスプレーで表示される映像は、既存のスイッチと比較して「断然キレイ」。従来のスイッチの液晶ディスプレーに比べ、特に白色や黒色において鮮明な描写を得意とすると説明した。

   ゲームハードの魅力は「グラフィックがキモ」と鈴木氏。従来型スイッチは3万2978円。有機ELモデルは3万7980円と、約5000円高いが、ディスプレーの映像の美しさを考えると、その差額の価値はあるハードだと評価した。

   21年10月期~12月期の3か月間で、通常のスイッチは520万台、廉価モデルの「ニンテンドースイッチ ライト」は180万台、有機ELモデルは310万台、計1010万台を売り上げると鈴木氏は予想する。ただ、ディスプレーの映像の美しさから、有機ELモデルは予想の数字を上回る可能性があるとの見通しを示した。

   一方、有機ELモデルが好調に売れたとしても、スイッチの売り上げ全体が予想の1010万台を上回るかは疑問を呈した。鈴木氏によると、ゲームハードの売り上げの伸びは、魅力的なゲームソフトが登場するかにかかっている。現状、こうした新作ソフトは出ていないと指摘した。

   有機ELモデルは、あくまで新たにスイッチを購入する人が、通常版のスイッチを買う代わりに選択するのではないかと推測した。

生産追いつかない不安材料

   今後、有機ELモデルを含むスイッチ全体の需要が伸びた場合、生産が追いつかずに売り上げ台数が伸びなくなる可能性も、鈴木氏は指摘した。

   懸念点は2つ。まず、ゲームハードの生産に必要な半導体の世界的な不足。次に、21年9月末ごろから報じられている、中国各地での電力不足だ。NHK NEWS WEBは9月29日付で、「燃料となる石炭価格の高騰や二酸化炭素の排出量削減のための環境規制の強化が原因とされ、日系企業を含め、工場の操業などに影響が出ています」と報じている。

   鈴木氏によると、この電力不足が、スイッチの生産に携わる中国の工場にも影響を及し得る。供給状況を判断するにあたり、今後の任天堂の発表を待ちたいとした。

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