メガネでアルコール消毒しないで コロナ禍の今だから注意したいトラブル
買ったばかりのメガネなのに、気付くとフレームの一部がはげていた。もしかすると原因は「アルコール消毒」にあるかもしれない。
メガネの企画メーカー、ブロスジャパン(福井県鯖江市)の2021年9月15日付記事「メガネと消毒用アルコール使用時の注意点!」によると、20年から「七宝剥がれ」にまつわる問い合わせが増えているという。アルコールでメガネを直接拭くこと、アルコール消毒をした手が乾かないうちにメガネを触ってしまうことが原因の一つと考えられるそうだ。
メガネの手入れは専用クリーナーか水洗いで
同社は「アルコールを使用して七宝の剥がれをテスト」した結果を記事内で公表している。七宝とは、メガネの金属地に釉薬(ゆうやく)を乗せて焼き付ける塗装技術の一種だ。アルコール消毒をした手で2週間、七宝加工に触った結果、一部がはげてしまった(画像1および2)。
この結果は、同業者からの注目も集めている。岐阜県関市のメガネ専門店 Eyewear shop amiの販売スタッフで、ツイッターの運営に当たっている担当者は、ブロスジャパンの記事を公式アカウントで拡散し、フォロワーに注意を促した。J-CASTトレンドの取材に「今後、七宝はがれにまつわる問い合わせが増えそう」と話す。
「メガネをアルコール消毒する人が増えたのは、コロナ禍になってからだと思います。こういったトラブルがメガネに起こるとは、そこまで広く知られていないはずです。フレームに変化が起きて『おかしいな』と思っても、ひとまず様子見している層がいるのでは」(担当者)
これまでも七宝はがれの修理依頼は寄せられていたが、多くが「ある程度の期間、同じメガネを使い続けていた人」からだった。しかしアルコール消毒によるトラブルは、買ったばかりのメガネでも起きうる。注意喚起することで、認知が広まれば塗装剥がれを防げるうえ、「買いたてのメガネにキズがついていた!」と消費者が誤解したり、メーカーや販売店がクレームを受けたりするリスクを低減できそうだ。
Eyewear shop ami担当者は、メガネを「専用クリーナー」で手入れするよう、すすめている。「難しければ水や、中性洗剤を薄めた液で洗うのでもよいです。メガネが水で洗えることを知らず、アルコール消毒している人もいます。ただ、お湯は使わないでください」と語った。
真っ黒な鉄家具が毎日のアルコール消毒で変色
「鉄家具」も種類によっては、アルコールで塗装がはがれる恐れがある。アイアンインテリアショップ、テツクリテ(岐阜県関市/杉山製作所)で商品企画や、SNS運用を手掛ける担当者は、ドアハンドルの購入者から「変色してしまった」と問い合わせがあったことを明かした。
「色々な人が触る場所なので、毎日アルコール消毒していたら、もとは真っ黒だったはずが若干白っぽくなってしまった(色が薄くなった)そうです。再塗装もできなくはないのですが、より悪化する可能性が考えられるので、おすすめはできないです」
アルコールに限らず、鉄家具は濡れた状態で放置するのが望ましくない。そこでメンテナンスは、水拭きと乾拭きをセットで考えた方がよいそうだ。水拭きだけだと感染対策になっているか不安なら、「アルコール除菌後に、乾いた布で水分を拭き取ってほしい」という。
「私は鉄のデスクを使っており、コロナ禍になってから約2年間、市販のアルコール配合除菌シートで毎朝1回拭いています。乾拭きもあわせて行っており、目に見てわかる範囲では、特に変色など起きていないように感じています」
テツクリテ担当者が愛用している鉄のデスク
使うアルコールの濃度や、除菌頻度にもよるが、「数回アルコールが付着したくらいでは大きなトラブルに繋がるとは考えにくい」そうだ。