滋賀生まれ「飛び出し坊や」グッズ化続々 キーホルダーに文房具、リフレクター
黄色いズボンに赤色の長シャツ、つぶらな黒目。「飛び出し坊や」と呼ばれ、近畿地方を中心に設置されている看板をご存じだろうか。車のドライバーに向けて、子どもの飛び出しを注意喚起している。
服装やデザインには無数のバリエーションがある。元祖とされる看板は「とびだしとび太」(以下、とび太)という名称で、久田工芸(滋賀県東近江市)が製作している。実は「とび太」を題材とした様々なグッズも発売されている。
交通安全の啓発へとつなげる
「とび太」のグッズ販売を手がけるヘソプロダクション(大阪市)の発表によると、高度成長期に急増した子どもの飛び出し事故を防ぐ看板として、「滋賀県八日市市社会福祉協議会」の依頼で1973年に久田工芸が製作。八日市市(現・東近江市)内に設置されたのが「とび太」の始まりとされる。
ヘソプロダクションは2021年9月6日、久田工芸の企画協力のもと、「とび太」グッズ新商品として「木製キーホルダー」と「木製スタンドメモクリップ」の発売を発表。2020年6月には「ダイカットリフレクター」「アクリルキーホルダー」「缶マグネット」といったグッズも登場した。
文具メーカー「コクヨ」グループの「コクヨ工業滋賀」からは、「とびだしとび太」が簡単に描ける文具「とび太くんテンプレート」や、「とび太」仕様のふせん、ノートも売り出されている。
ヘソプロダクション代表取締役の稲本ミノル氏に取材した。グッズは2015年4月から滋賀県を中心に、関西エリアのお土産屋や、高速道路のサービスエリア内ショップなどで販売。交通安全の啓発へとつなげることを目的にグッズ化したと話す。
当初からキーホルダーなどのほか、スナック菓子「うまい棒」とコラボして「とび出し!うまい棒や」なる食品も発売した。
グッズは「安定感のある」売れ行き
稲本氏によると、「飛び出し坊や」に一定数存在するファンやコレクターが買っている。また、親世代が子どもの交通安全を願い、ランドセルに着けられる「リフレクター」を購入することも多い。車のライトを反射してくれる。滋賀県出身者がなつかしさから買うことも。
滋賀県特有の「お土産」としての地位も確立しつつある。グッズは大ヒットとまではいかないが「安定感のある売れ方」とのことだ。
ただ、まだ関西ローカルなキャラクターであり、関東や東北では看板を「知らない人が多い」。今後も様々なコラボなどを経て知名度向上を図りつつ、「全国にああいった看板が置かれるようになっていったらいいな」と願っている。
編集部の滋賀県出身女性によると、幼少から「飛び出し坊や」の看板は当たり前のように周りにあり、県内でグッズを見かけたときは「『なんでわざわざグッズに?』と不思議な気持ち」だった。ただ、地元では時おりカメラを持って飛び出し坊やを撮影しているファンを見かけるという。「他の県から来た人には、(グッズは)お土産にはなりそうです」。