パラリンピック沿道で応援、家電量販店に行列 コロナで「密」ダメなはずなのに
新型コロナウイルスの感染が収まらない中、イベントや商業施設の行列ほか人々が密集する例が相次いでいる。東京都千代田区の家電量販店「ヨドバシAkiba」では、2021年9月5日朝に長い列ができたとツイッター上で話題になった。
ツイートを見ると、この日は人気カードゲームの商品が入荷し、数十人以上の人々が店外で密集したとわかる写真が投稿されている。
「NAMIMONOGATARI」で感染者
J-CASTトレンドがヨドバシカメラ広報に取材すると、「ヨドバシAkiba」の行列の人数や詳細は確認できなかったが、「お客様にお並びいただいていた状況はあったようです」と話した。
同じ日、東京パラリンピックで男女マラソンが行われた。沿道には、間隔を空けずに応援をしている多数の観客がみられた。本来は無観客開催のはず。ツイッター上では、選手が感染しないか心配する人もいた。
その2週間ほど前の2021年8月27日。「東京都若者ワクチン接種センター」開設初日、東京・渋谷の会場には早朝から大人数の若者が大行列をなした。9月3日付「NHK 首都圏ナビ」によると、その数約300人。8月28日にも長い列ができ、一時およそ1キロ離メートル離れたJR原宿駅の近くまで達したとのことだ。
7~8月に行われた東京五輪でも、会場周辺で人が集まるケースがあった。J-CASTトレンドも五輪終了後の8月12日、国立競技場近くの五輪モニュメントで記念撮影待ちの列ができている様子を報じた。
8月29日に愛知県常滑市内で行われた野外音楽フェスティバル「NAMIMONOGATARI2021」は、人が密集したイベントを開催したと批判を集めている。参加者らが密になって盛り上がっている様子のわかる映像や画像がSNS上に投稿された。主催の「office keef」代表は9月3日、公式サイト上で「約8000人の参加者に対してコロナ感染を避ける対応としては不十分であった」と謝罪している。だが9月6には、イベント参加者2人の新型コロナ感染確認の発表があった。
人流抑制に協力呼びかけられているが
海外では、大規模イベントで感染が拡大した例がある。サッカー・欧州選手権の決勝。英ロンドンの「ウェンブリースタジアム」で7月11日に開催されたが、8月20日の英政府の発表によると、試合日時点で2295人が、またスタジアム内とその周辺でさらに3404人が感染した可能性があるとのことだ。7月13日付スポーツ報知によると、約6万7000人の観客が参加していた。
厚生労働省の発表によると、国内の年代別の陽性者数の累計は9月1日時点で20代が36万6265人で最多、続くのが30代(23万7290人)と、若い世代に感染が拡大している。
厚労省や首相官邸はこれまで「3つの密(密閉・密集・密接)」を避けるよう国民に呼びかけ、屋外でも密集・密接に注意し、人混みに近づかないよう求めてきた。
8月17日にも、菅義偉首相は緊急事態宣言中デパートやショッピングモールといった混雑する場所の人数制限を呼びかけると記者会見で説明。国民に対して「日々の買い物といった混雑した場所への外出を半分減らしていただくなど、人流の抑制へのご協力をお願いいたします」と語りかけた。ただ、繰り返される緊急事態宣言に人々はうんざりし、もはや「お願い」は届いていないのが現状だ。