「Lemon」「若者のすべて」音楽の教科書入り J-POPの曲を採用する基準

米津玄師さんの楽曲「Lemon」と、フジファブリックの「若者のすべて」が高校生の音楽の教科書に取り入れられる。教育芸術社が発行する「MOUSA1(令和4年度)」に楽譜や歌詞が掲載されるのだ。

   教科書には古典的なものや、芸術的な曲が選ばれたりするイメージもある中、J-POP・ロックからの有名曲の採用はツイッター上で話題となった。ポピュラー音楽の選出基準を聞いた。

授業で米津玄師さんの曲を歌える?(写真はイメージ)
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ポピュラー音楽増えた

   教育芸術社編集部の担当者によると、掲載曲は文部科学省の学習指導要領に基づいて選ばれる。指導要領では、小中学校・高校と、それぞれの子どもの発達段階に応じた曲を用いるように定められている。高校生では「ポピュラー音楽」(大衆楽曲)をはじめとする多様な音楽を使用する方針がとられており、教材として成立するかを検討しながら曲を選んでいく。

   ポピュラー音楽から選ばれる基準は、「生徒たちが親しんでいる身近」な音楽が挙げられる。

   近年、生徒たちの音楽を学習するモチベーション向上を図る中で、生徒によって身近な曲を使って「とにかく声を出して、スムーズに音楽に入っていけるようにしたい」という要望が教育現場の教員から寄せられているという。こうした背景から、「(西暦)2000年より少し前」からポピュラー音楽が音楽の教科書に採用されることが増えたとのことだ。

   今回の教科書の編集の背景には、世のポピュラー音楽の楽曲数も充実してきた中で、「質の高い作品を紹介したい」という思いや、「生徒たちの多くが知っている最新の曲を取り上げたい」という考えがあった。こうしてピックアップされたのが「Lemon」だ。

   フジファブリックは2000年に結成されたロックバンドで、「若者のすべて」は07年のリリース。「夏の終わりの最後の花火大会」をモチーフにしており、何人もの有名ミュージシャンにカバーされている。編集部の間では知っている人は少なかったものの、候補に上がった時に「とてもいい曲」だと感じたことや、ギターを伴奏にしても弾きやすいといった理由から選ばれたという。

「クリスマス・イブ」「負けないで」もある

   高校生が歌うにあたり特殊な技術を必要としないことも考慮されている。上記の2曲はいずれもあまり音域が広いということもなく、「無理なく歌える」曲とのことだ。また、歌詞を見ても差別的な表現といった教育にふさわしくない部分がないことから、教材として適切だと考えたという。

   また、今回の教科書では幅広い年代のポピュラー音楽を伝えることを目的として、1970年代から各年代の楽曲を紹介するという方針がとられている。70年代からは赤い鳥の「翼をください」、80年代からは山下達郎さんの「クリスマス・イブ」、90年代からはZARDの「負けないで」をピックアップ。この方針にも合致していることから、00年代・10年代の楽曲として「Lemon」「若者のすべて」が選ばれた。

   ほかにはギターを伴奏に歌うことを目的とした項目もあり、そこではTHE HIGH-LOWSの「日曜日よりの使者」も収録されているとのことだ。コード数(和音)も少なく、弾きやすいことが選曲の理由だ。

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