首相退陣を「予言」していたコラム 「青木の法則」が当たったのか
菅義偉首相は2021年9月3日、自民党総裁選((9月17日告示、29日投開票)に立候補しない意向を表明した。これにより、首相の座も退くことになる。直前まで、再選を目指すとされていただけに、驚きのニュースとなった。
直近の支持率が低下
首相は、その理由について「新型コロナ対策と選挙との両立は莫大なエネルギーが必要。新型コロナ対策に専任したい」と記者団に語った。
しかし、これは前々からわかっていたこと。多くのメディアは、直近の内閣支持率低下が影響したのではないかと見ている。
9月2日の朝日新聞「天声人語」は、興味深い「法則」を紹介していた。参議院自民党のまとめた役だった青木幹雄氏が唱えたものだという。
それによると、内閣支持率と政党支持率を足したものが50を下回ると、政権運営が厳しくなるのだという。「青木の法則」と呼ばれているそうだ。
近年、衆院解散直前に50に届かなかった首相は森喜朗氏、麻生太郎氏、野田佳彦氏だという。直後の選挙では大きく議席を減らし、麻生氏、野田氏は野党に政権を明け渡すことになった。
危険水域に近づいていた
では菅内閣はどうなのか、と天声人語は続ける。朝日新聞の8月上旬の世論調査では菅内閣の支持率は28%で、自民党の支持率は32%。合わせると60となっている。ところが毎日新聞の最近の調査では「26+26=52」まで落ち込んでいるというのだ。
「危険水域に近づいているようなので、自民党議員たちが浮足立つ理由がよくわかる」と天声人語は解説していた。
内閣支持率が落ちてくると、選挙で負ける可能性が高まる。目の前に衆院選が迫っているだけに、与党議員たちは気が気ではない。
自民党で選挙を牛耳るのは幹事長だ。2日夕に突然、菅首相が自民党本部を訪れ、二階俊博幹事長と会談した。この時どんな話があったのか。3日昼、この時のことを改めて記者団に聞かれた二階幹事長は、「ご本人(首相)に聞いてみてください」と、多くを語らなかった。ひょっとして、「青木の法則」も話題になったのだろうか。