「ラン活」いつの時代から激化 高価でも...わが子にとっての「一番」求めて
「ランドセル」は、子どもが6年間、教材を持ち運ぶための必需品だ。最近では、少しでも良いランドセルを...と保護者が「ラン活」に奮闘している。
そもそも、いつからこんなに白熱するようになったのか。その背景をたどった。
ラン活は2015年頃から
J-CASTトレンドが22年4月に小学校へ入学予定の女児の母親に取材すると、「今年5月にはランドセルを決めました。5つのメーカーで悩んだ」と話した。
かける金額も年々増加している。日本鞄協会ランドセル工業会の調査によると、2020年までは、4万~5万4999円のランドセルを購入する人が最多だった。しかし、21年の調査では、6万5000円以上のものを購入したと答えた人が最多に。購入金額平均も、昨年より1739円上昇した。
ラン活について、同会の林州代会長に取材した。林会長によると、この言葉が出始めたのはおそらく2015年頃から。社会の変化に伴って、昔よりも子どもの個性を尊重する保護者が増えたそうだ。インターネットでランドセルの情報を集め、周囲と同じではなく、友達とかぶらないもの、わが子にとって一番のものを探すようになっていった。次第にマスコミなども「ラン活」という言葉を用いて取り上げるようになり、どんどんエスカレートしたと考えられるそうだ。
「ランドセルは、子どもの代名詞ですからね。これから6年間義務教育が始まる、という人生のワンステップのところに登場するので、保護者の方の思い入れも非常に強いです」
ランドセルは、200個のパーツを手作業でひとつにまとめ、完成させるのに非常に手間と時間がかかる。各社は、年間で作る数をあらかじめ決めて取り組んでいる。毎年小学校に入学する子どもの数を大体100万人とすると、そのうち約90万人がランドセルを買うという。この90万個はほとんどが計画生産で作られるため、「ラベンダー色がいま人気らしいから、途中でもう1000個作ろう、とかが絶対にできないんです」。
そのため、人気モデルは早いうちに購入しないと品切れに。保護者も焦って早い時期から選ぶようになった。「ラン活」に必死になる理由のひとつだ。
ランドセルはいつからカラフルに?
ランドセルは、もともと男児は黒、女児は赤が主流だった。では、現在のカラフルなものはいつから生まれたのか。
林会長によると、2000年に「UNIQLO」が数十色ものカラー展開のフリースを販売し、大きな話題になった。その翌年、ある量販店が今度は24色ものランドセルを販売したという。これが「最初だと思う」。その後、ほかの百貨店もこれに続いた。そして2010年以降、刺繍入りなど、個性豊かなランドセルが次々に登場するようになったという。
さらに、見た目だけでなく、機能性も優れた商品が出てきた。それでも、ランドセル自体のかたちは変わっていない。林会長は、箱型で、教科書やパソコンを入れても傷まないランドセルは「子どもが学校に通うための最高のツール」だと説明した。
「(ランドセルを)選ぶときは本当に皆さん楽しそうに、懐かしそうにされています。我々も日本にしかないランドセル文化をしっかり啓蒙していきたいと思います」