自宅療養「一人暮らし」で最も必要な備え パルスオキシメーターも大事だけど

   もしも新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養することになったら――。同居家族がいるならば生活のサポートも受けやすいが、一人暮らしの人はそうもいかない。

   東京都では2021年8月16日時点で2万2166人の感染者が自宅療養をしており、急増の一途だ。一人暮らしの人は万が一にどう備えるべきか、専門家に聞いた。

一人暮らしには辛い自宅療養、どう備える(写真はイメージ)
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一番重要なのは食料ではなく

   日本在宅医療連合学会代表理事の石垣泰則氏に取材すると、「一番重要なのは、外との連絡手段を作っておくこと」と切り出す。

   新型コロナ感染症は、若者・高齢者問わず時おり急激に症状が悪化する。いざという時に駆けつけてもらったり、救急車を呼んでもらったりするため、家族や友人と連絡できるツールを準備しておくことが必要だ。

   高齢者の場合は、呼吸苦のほか、認知症のような症状や、意識障害を引き起こすリスクがある。正常な意識を失えば、自発的に外部との連絡ができなくなる。そのため、高齢者の家族や隣人などから定期的に連絡を入れてもらう形をとった方がよい。

   次に食料品の備蓄を挙げた。厚生労働省は自宅療養期間を最大10日間と定めている。約2週間分の備蓄や、デリバリーで食料品を注文できる環境が必要だ。

   特に、「新型コロナ感染症は血栓症を起こします。こまめに補給して予防しておく意味でも水分はとても重要なので備蓄しておいた方がよいと思います」と石垣氏。水分補給は、血栓の発生予防に有効とのことだ。1日1500ml以上の摂取を推奨している。

   また使い捨て食器を用意しておくと役立つ。食後の皿洗いによる負担を減らし、療養に専念できる。そのほか、外から療養者のサポートに訪れた人に向けて、使い捨ての手袋やマスク・消毒液といった感染防止用品を玄関に置いておいた方がよいとのことだ。

「パルスオキシメーター」はピンキリ

   血中酸素濃度を計測し、症状の変化を観察できる「パルスオキシメーター」を個人で用意しておく必要はあるかも聞いた。東京都や神奈川県などでは、自宅療養者にパルスオキシメーターを貸与している。

   石垣氏は積極的に推奨はしないものの、日ごろから健康状態を自分で管理するという観点で「あった方がいいとは思います」と話す。ただ、市販されているメーターの性能は「ピンキリ」だという。医療器具として認可され信頼性の高いものから、逆に認可を受けておらず、精度の低い製品まで存在するため、注意が必要だ。

   信頼性が低いものを使うと、誤った酸素濃度の数値を見て過度に不安になったり、逆に症状の悪化に気付かなかったりと、混乱に陥る可能性がある。医療機器として認可を受けたメーターは家電量販店でも購入できる。

   最後に、「かかりつけ医を持っていると心強いです」。というのも、今後自宅療養者が増えていくと、診療といったサポートを地域のかかりつけ医が行うようになると石垣氏は予想しているからだ。

   事実、8月11日付のNHK NEWS WEBによると、東京都医師会は自宅療養者の健康観察といった業務に協力するよう発熱外来のある医療機関やかかりつけ医に求める通知を10日に出している。

   普段から関係を持ったかかりつけ医がいれば、訪問診療や電話での診断などで今後「何かあった時に助けてもらえる可能性が高くなる」。石垣氏はそう指摘した。

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