ワクチンソングにアプリ「若者よ接種を」 ちょっと違う?むしろ早く打ってと嘆き
若者に、新型コロナウイルスのワクチン接種を促進させる動きが出ている。割引クーポン付与や、接種を後押しする応援ソングまで登場した。
しかし、何かずれている。現実は、「接種をしたくても予約すら取れない」と嘆く若者もまた、多い。若者が接種を避けているとされる風潮は、どこから来たのか。J-CASTトレンドは、まだワクチンを接種していない20代の男女3人に取材した。
接種済みの若者に割引クーポン
東京都は2021年8月12日、8月の補正予算案を発表した。その中に、若い世代にワクチン接種を促すキャンペーン事業を盛り込んだ。具体的には、ワクチンの安全性などを発信する広報活動や、若者向けのスマートフォンアプリの開発を行う。複数の報道によると、アプリではワクチン接種した20代~30代が使える割引クーポン取得などに活用してもらう想定だ。
ワクチン接種は歌でも呼びかけられている。チアダンスカフェ「チアーズワン」を運営するベスティ(東京都中央区)は、若年層のワクチン接種を後押しするオリジナルソングを2021年8月20日にリリースする。「Let's Go!みんなでワクチン♪」という曲で、ミュージックビデオでは、ストリートダンスとチアダンスを融合させた「ワクチンダンス」を、チアリーダーたちが全力で踊る。
発表資料によると、若年層のワクチン接種意欲が伸び悩む中、接種促進の一助として、オリジナルの歌とダンスで協力したいと考え、制作したという。
「アプリを開発する暇があったら」
「打たないのではなくて、打ちたくても打てない」
こう話すのは、東京都内在住の女性Aさん。接種券は2021年7月には届いたが、未だに予約できない。「何度かトライしていますが、枠がすぐに埋まって取れません」。もし若者を対象に割引クーポンが配布されても、それ目当てに打とうと考える人はいないのではないか、と話す。「若者が打たないからエサで釣ろう、としている気がして、正直もやっとします」と続けた。
都内在住女性Bさんは、接種を迷っているうちに、ワクチン接種の予約が取れなくなった。Bさんが住む地域で予約受付がスタートしたのは7月下旬だったが、副反応が不安でタイミングを見ていたという。ただ、新規感染者数が急増する中で、打つことのメリットを感じるようになった。「(今は)接種を待っている間に感染しそうで怖い。アプリを開発する暇があったら、少しでも早く多くの人にワクチンを届けてほしい」と本音を明かした。
神奈川県在住男性Cさん。「何でもかんでも若い世代が...と悪者のように扱うのはやめてほしい」とこぼす。今はまだ、順次接種が進められている段階だ。打つ、打たないはそれぞれの判断となる。しかし、Cさんは、まずは打ちたいと思っている人が打てるようにするのが、国がやるべき最優先事項ではないか、と指摘した。