コロナ感染拡大は子どもにも 9月の新学期前に暗い影落とすデルタ株
新型コロナウイルスが世界的に急拡大し、各国が対応に追われている。中でも、これまでコロナにかかりにくいと言われていた子どもたちにも感染が広がっていることが新たな脅威となっている。12歳未満の子どもはワクチン接種の対象外。それだけに米国や韓国では、9月からの学校再開を心配する声も出ている。
6月下旬比で11倍
日本経済新聞は2021年8月11日の夕刊1面トップで、「米、子供の感染拡大、全体の15%に」と、米国で子どもに感染が拡大していることを伝えた。「学校再開に危機感」が広がっているという。
同記事によると、米国では7月に入り子どもの感染が拡大し、8月5日までの1週間で新規感染者が約9万4000人に上った。6月下旬比で11倍だという。入院患者全体に占める比率も数%になり、教職員や保護者、医療関係者の間では、子どものコロナ感染に対する懸念が高まっていると伝えている。すでに学校が再開したミシシッピ州では、生徒の感染が増えているという。
韓国情報を伝えるメディア「WoW!Korea」は12日、「新型コロナウイルス感染者2200人超え...登校は問題ないのか」という記事を公開している。韓国では過去最高の感染者となっているものの、2学期の授業は規制を強化しない形で始まる見込みらしい。
これに対し、インターネット上では、「子どもたちはワクチン接種さえ受けられない」「登校に対する選択権を与えてほしい」のほか、「学校が安全かつしっかりと感染症対策を行っていると言っているが、私たちの学校や近隣の学校でも感染者が出ている状況だ。今、この状況で登校を強行するのは生徒とその家族、周囲の人を危険にさらすことだ」などの声が出ているという。
保育園の臨時休園も
日本では今のところ、9月からの授業開始について目立った議論は起きていないようだ。しかし、夏休み中とはいえ、子どもの感染は増えている。NHKによると、8月に入って東京での感染者に10代以下が占める割合は13%になっている。
すでに全国各地の学習塾でクラスターが頻発している。千葉日報によると、船橋市の学習塾「湘南ゼミナール 小中部西船橋教室」のクラスターは、累計89人に増えた。夏休み中とはいえ、市川市立塩浜学園では11日までに同じ文化系の部活動の生徒12人の感染が判明、千葉市内の中学でもクラスターが起きている。
感染爆発中の東京都では、具体的な感染場所などが伏せられているが、小金井市のサイトを見ると、8月に入って10日までに学校関係で6件のコロナ感染があったことがわかる。都内の他の自治体でも同じように、子どもの感染が拡大していると推測できる。各教育委員会は、新学期に向けてどのような体制で臨むべきか、苦慮しているに違いない。
神奈川新聞によると、川崎市は、臨時休園する保育園が増えている状況を踏まえて12日、市内の保育園利用者に、緊急事態宣言の期限の31日まで登園を自粛するよう要請した。保育園は感染防止を徹底した上で原則開園するが、感染拡大防止のため、家庭での保育が可能な場合は利用者に登園を控えるよう求めたものだという。
日経新聞によると、米小児科学会は「デルタ株が新たな脅威になっている」として、12歳未満へのワクチン接種を早急に始めるよう米食品医薬品局(FDA)の長官に要請しているという。