「コロナ禍」東京五輪の半年後は北京冬季大会 「デルタ株」どう抑え込む
東京オリンピック(東京五輪)が、2021年8月8日に幕を閉じた。だが半年後には中国で北京冬季オリンピック(北京冬季五輪)が始まる。「五輪ロス」に陥るヒマはない。
東京五輪は、新型コロナウイルスの影響を受けて、ほとんどの競技が異例の無観客で実施された。世界的に「デルタ株」が猛威を振るうなか、北京では無事に開催できるか。
大会関係者ら484人感染
東京五輪では、選手や関係者に入国後14日間隔離期間を設け、大会期間中にも定期的にPCR検査を行った。外部との接触を遮断する感染防止策「バブル方式」をとり、厳しい行動制限を課した。
それでも、選手や関係者の感染が報告された。2021年8月10日付NHK NEWS WEBによると、7月1日からの大会関係者などの感染者の累計は484人にのぼっている。
東京五輪は夏だったが、北京は冬に開催だ。新型コロナは最初、19年12月初旬に中国の武漢市で第1例目の感染者が報告された。日本では20年末から21年初に感染拡大の「第3波」が訪れた。
北京ではバスや航空機の移動制限
中国では最近、国内での新型コロナの感染抑え込みに成功していた。21年6月3日付NHK NEWS WEBは、中国保健当局の発表として、6月1日までの1か月間の感染確認は70人余りだったと伝えている。厳しい水際対策のほか、市中感染が確認された場合、その地域の住民の移動を制限し、全員にPCR検査を実施。感染者の把握を徹底し、広がりを防いだ。
しかし、感染力が強い変異ウイルス「デルタ株」が登場。複数の報道によると、21年8月10日に中国当局は、中国全土で新規感染者143人の確認を発表した。うち108人が市中感染だった。この数字は、今年2月以降最多だという。
2021年6月26日放送の「ABEMA Prime」では、半年後に控えた北京五輪の開催について専門家を交えてトークが繰り広げられた。
リモート出演した、中国の情勢に詳しいジャーナリストの近藤大介氏は、「いかに(感染を)抑え込むかということと、いかに(五輪を)スムーズに運営するのかという二律背反の中で、ワクチンパスポートみたいなものを作るとか、中国独自のカメラを使った検温とか、東京大会以上に科学的な方法を取ると思う」と述べた。あらゆる手段で対策を講じ、開催を迎えるとの見方だ。
北京では、すでに五輪に向けてバスや飛行機での移動制限が強化されている。21年8月10日配信の日テレNEWS24(電子版)によれば、北京の空港と、感染が広がる南京などの都市を結ぶ航空機の運航が中止になっている。さらに、空港周辺の住民15万人には週1回PCR検査が義務付けられた。鉄道や高速バスもこうした都市を往復する便が運休になるなど、北京五輪を前に「首都へのウイルス流入に神経をとがらせている」と報じた。