東京五輪「安心安全」どこへ コロナに加えて台風対策も気になる

   東京オリンピックのテコンドーに出場するチリ代表の選手1人が、新型コロナウイルスに感染し、大会を棄権するという。NHKニュースが2021年7月21日に報じた。

   菅義偉首相や東京五輪・パラリンピック組織委員会、東京都からは「安心・安全」の五輪を目指すとのフレーズが頻繁に出てくるが、新型コロナ感染者が続出しているのが現状だ。すでに女子サッカーやソフトボールが7月21日に開始し、開会式は23日。そして不安は、コロナだけではない。

「安心・安全」の五輪は実施できているのか
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陽性者が毎日のように

   事前合宿のため6月19日にウガンダ共和国から入国した選手団では、9人のうち、2人が新型コロナ陽性と大阪府泉佐野市から発表された。インターネット上では水際対策に対する不安の声が広がった。

   大会関係者の新型コロナウイルス感染者情報は、氏名や国籍は伏せてあるが、東京五輪の公式サイトで公表されている。陽性判定が報告された日ごとに見ていくと、6月29日には1人、7月1日には2人、2日には5人、3日には3人、4日には1人、5日には1人と、ほぼ毎日のペースで陽性者が出ている。

   選手村の感染例も出ている。7月17日付スポニチアネックスによれば、この日には大会関係者15人が新型コロナ陽性反応を示したと組織委員会から発表された。うち1人は選手村に滞在しており、選手村滞在者から陽性反応が出たのは初めてという。翌18日、今度は選手村に滞在する選手で初の陽性者が判明したとNHKニュースウェブが報じた。

   首都圏を中心に無観客で実施される五輪。アスリートといった参加者に対しては「公式プレーブック」で感染対策のガイドラインを示している。選手にはマスクの着用や、握手などで物理的な接触を避けることを求めているほか、日本入国前に登録した活動計画書に記載した「用務先」以外には訪問できないといった外出制限規定も設けられている。

   メディア関係者にもプレーブックでガイドラインが定められており、入国後の14日間は活動計画書に記載の用務先以外には訪問できず、公共交通機関も利用できない。

   プレーブックを遵守しない場合には、アクレディテーション(大会の参加証)のはく奪といった罰則も設けてある。

   一方で、泉佐野市に滞在していたウガンダの選手が一時所在不明となった(7月20日に保護)。7月7日付FLASH電子版は、選手村に近い豊洲市場(江東区)で五輪関係者がビアガーデンに集っている記事を配信。不安を感じさせるニュースは絶えない。

   さらに7月19日付「東京オリンピック総点検野党合同チーム」ヒアリングでの内閣官房オリパラ事務局の説明によると、宿泊施設に滞在している五輪関係者には、外出時には「15分以内に戻るようにお願いします」と、特例で外出を認める通達が組織委員会によって行われている。事務局側は組織委員会に対して、こうした通達の撤回や、プレーブックの厳格な運用を求めると表明した。

台風発生、競技の中止はどうなる

   感染症だけではなく、自然災害も気になる。五輪開会式以降、パラリンピック閉会式の9月5日まで競技期間が続く。日本に台風が上陸することの多い時期と重なる。

   J-CASTトレンドが組織委員会の戦略広報課に取材すると、台風発生時の「競技の遅延、延期等の判断は、組織委員会、IOC(国際オリンピック委員会)・IPC(国際パラリンピック委員会)、国際競技団体等で協議を行い決定します。また、閉会式前に競技を再設定することができず中止が必要となる場合には、最終的にIOC・IPCが決定します」と回答した。

   東京五輪公式サイトの「よくある質問」ページでは、台風などが発生した場合の競技スケジュールについて、「すべての競技で緊急時の対応計画を策定します。台風などが発生した場合は、この計画に基づき、対応方法を決定いたします」との説明がある。

   前出の戦略広報課は、「緊急時の対応計画については、公表しておりません」とした。

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