バッハ会長、IOC幹部は五輪開会式に会場へ 「無観客」でも堂々参加の特別待遇

   東京五輪で1都3県の首都圏会場や北海道、福島が無観客となることが2021年7月12日までに、正式に決まった。新型コロナウイルスの拡大で、東京に4度目の緊急事態宣言が出されたためだ。

   開幕まで2週間を切るなかで、競技会場の大部分が無観客になるという極めて異例の決定だ。しかしながらこの「無観客」、いわゆる「五輪ファミリー」は別枠だ。

東京五輪の開会式は7月23日、場所は東京・国立競技場だ
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「この人たちは観客ではない」

   「五輪ファミリー」とは、狭義では国際オリンピック委員会(IOC)の関係者のこと。広義ではスポンサー関係者らも含めて総称される。さらには、各国の政府関係者や各競技団体幹部などが含まれる場合もある。

   この人たちが一堂に集まるのが、7月23日の開会式。今回、報道では開会式も「無観客」とされている。しかし、6月20日ごろの段階では「約2万人」が出席すると見込まれ、その後も「1万人規模」になるのではないかと報じられていた。実際はどうなるのか。

   スポニチによると、開会式を含め無観客となる会場への別枠での入場について、大会組織委員会武藤敏郎事務総長は7月8日夜、「IOC委員、IF(国際競技団体)幹部、NOC(各国オリンピック委員会)幹部、放映権者の方々、この人たちは観客ではない」と語っている。

   したがって、無観客にもかかわらず、開会式には多数の関係者が出席している状態になる。武藤氏は、「それぞれ役割持った方々。この方々は入ることができる。こういう状況なので、できる限り必要な人数絞っていく必要がある」とし、「関係者の中には客席で見られる人もおられる」と説明したという。

   テレビで開会式を見る視聴者からすると、会場にいるのが「観客」なのか、「別枠」なのか、わかりづらい状態になりそうだ。

「オリンピック賛歌」と日本

   開会式は五輪のメーンイベント。日本オリンピック委員会(JOC)のウェブサイトによると、1896年に近代五輪が始まった時から行われていた。まだ「オリンピック憲章」もなく、細かい開催要項も決まっていなかったが、第1回の開会式ではファンファーレにのって役員、選手団が入場、ギリシャ国王が開会を宣言。すると祝砲が轟き、鳩が飛び立った。「今日の壮麗な開会式は、第1回大会が原形といってよいでしょう」と解説している。

   日本国内でもよく耳にする「オリンピック賛歌」はこの開会式の冒頭、ファンファーレに先立って合唱で紹介(詞コスティス・パロマ、曲スピロ・サマラ)されたものだという。その後、忘れ去られていたが、1958年に賛歌の古い楽譜がギリシャで見つかり、NHK交響楽団があらためて採譜、編曲。同年5月、東京で開かれたIOC総会の開会式で演奏、披露した。IOCは日本の善意と曲の素晴らしさに感激、以後この曲を公式に認定し、催事に使うことになったという。

   開会式のイベントの一部に、実は日本も深く関わっていることがわかる。同サイトによると、開会式の手順は五輪憲章で細かく定められており、「オリンピック賛歌が演奏されている間に、水平にひろげたオリンピック旗がスタジアムに運ばれ競技場内に立てられた旗竿に掲揚される」とある。

すべて未定

   東京オリンピック・パラリンピックの名誉総裁は天皇陛下。朝日新聞によると、宮内庁の西村泰彦長官は6月24日の前回の定例会見で、天皇陛下が新型コロナウイルスの感染状況を心配しているとし、東京五輪・パラリンピックの「開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されていると拝察している」と発言。国内外に大きな反響が広がった。

   同紙によると、西村長官は7月8日の会見で、東京五輪・パラリンピックへの皇室の関わりについては、「調整中で、今申し上げることはない」と述べた。天皇陛下が開会式で開会宣言をする際の文言や、各国元首らを皇居に招いての祝宴、皇族方の競技観戦などすべて未定だという。

   陛下と五輪のかかわりを心配する声も出始めている。NHKによると、国民民主党の玉木雄一郎代表は8日、記者団に「緊急事態宣言が出されている状況で、大会開催をめぐり国論が二分することについて、おことばをいただくことが国民統合の象徴としての地位も傷つけてしまうことになると思う」と述べた。そのうえで、「安心して参加いただける環境を整えることが行政や政治をつかさどる者の務めで、できないのであれば陛下にお出ましいただくのはいかがなものか」と述べ、天皇陛下を開会式にお迎えすることは慎重に判断する必要があるという認識を示したという。

   天皇陛下は6日午後、住まいの赤坂御所(東京都港区)で新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を受けられたばかりだ。

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